例えばこんな裏方の仕事にもやりがいはある
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に憶測でモノを言うのが好きで、小村センパイが私に何を思って指導をし、負けてどう思ったのかの真相はちっとも分らなかった。
でもその頃から先輩の表情に少しづつ陰りが見えてきて、私はその原因を突き止めたかった。ひょっとしたら、先輩は私の事を疎ましく思っていたんじゃないか?自分が勝ってしまったことが原因ならばいっそ身を引こうとさえ覚悟していた。答えを問い詰めた私に先輩は「学園祭で話すよ」と笑いながら告げた。その日に決着をつけようと心に決意した。
そして学園祭当日に、センパイはいなくなった。
先生に聞けば、既に私が問い詰める前から小村センパイは学園に退学届を出していたそうだ。私を含む後輩や友人の先輩たちが慌てて彼女の部屋に行くと既にそこはもぬけの殻。実家とはもともと折り合いが悪く絶縁状態だったため、ご家族もセンパイの行方は知らなかった。
あれからもう5年以上が過ぎた。
そう、私と先輩は―――実に5年ぶりの再会を果たしたのだ。
= = =
目の前にある揚げタコを一つ頬張る。昔は揚げタコではなくたこ焼きが主流だったのに、時代は変わるものだ。―――おいしい。外側は変わっていても、甘辛いソースとタコの触感はたこ焼きと変わらないみたいだ。
「あの人たちは、先輩とどんな関係なんですか?友達とその子供とか?」
「そだね。子供二人はまた別の友達の子なんだけど、今日は面倒任せられてんのよ〜ん!」
「へぇ、センパイに任せるなんて勇気ありま・・・よっぽど信用されてるんですね!」
「ユウキ・アリマさんがどうしたって?」
「き、気のせいですっ!」
揚げ足を取るような発言に思わずそう言い返すが、こうなってしまうといつも弄り倒されてしまうのが常だったのを思い出す。やはりというか、センパイはあの頃と変わらぬ悪ガキの様な表情でにやにやしていた。
「ぬへへへ・・・相変わらず嘘がヘタクソだねぃ。可愛いったらありゃしない!」
「や、止めてください・・・こんな生徒が見ているかもしれない所で・・・!?」
「お、今の台詞超エロイね。もう一回どうぞ!」
「もう〜!センパイったらいい加減にしてくださいっ!」
それほど長く時間が残されていないことは分かっている。あと数十分もすれば持ち場に向かわなければいけない。それでも、先輩とまたこうして並ぶ時間は懐かしくて、質問をしてしまえが今度こそこの安らぎが消えてしまう気がした。
でも、聞かなければいけない。聞かない方が、互いにとて幸せなことかもしれないけれど、それでも私は切り出した。
「・・・センパイ。どうして何も言わずにいなくなっちゃったんですか?この5年間、この疑問を忘れた夜はありませんでした」
「へっ・・・あっしは元々根無し草、風の向くまま気の向くままに
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