六十五 待ち人
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、賭け事の才能無いんだから、止めたらいいのに」
「仙人みたいに強いらしいけど、やっぱエロ仙人はエロ仙人だってば!」
「もう既に多くの賭場で目をつけられちゃって…カモはカモでも『伝説のカモ』だぜ!どんだけ弱いんだよ!!」
「「ん?」」
そこではたと気づく。どこかで聞いた事のあるような…。
お互いに顔を見合わせていたナルとアマルの前で、ひゅんっと一人の男が吹き飛んでいった。しかも回転しながら飛んでゆくその様に、思わず目を見張る。
何事かと飛んできた方角を見ると、白髪の大柄な男――自来也が身体についた埃を叩いていた。
「…ったく。いい気分で姉ちゃんと酒を呑んでいたのに、台無しじゃわい」
居酒屋からのっそり現れる。男にイチャモンをつけられ、女性との楽しい会話を邪魔された自来也が、仕返しとばかりに相手を吹き飛ばしたようだ。
店の中を覗いたナルが「あっ」と声を上げる。パンパンに入っていた自身の蛙財布がぺちゃんこになっているのを見て、彼女は顔を引き攣らせた。
「なんでオレの金、全部使い切ってんだよ!?このエロ仙人―――っ!!」
「え!?エロ仙人!?この人が!?」
驚くアマルを尻目に、ナルは自来也に掴みかかる。怒る彼女の金髪頭をぽんぽんと叩いて「お、ナル!ちょうどいい。今からお前に術を見せてやるからのお。よ〜く見とけ」と自来也が悪びれも無く言い放った。
見渡すと、何時の間にか柄の悪そうな男がもう一人、自来也の前に立ちはだかっている。どうやら自来也が吹き飛ばした男の仲間のようだ。
おもむろに自来也がすっと手を掲げる。拳上で風が渦を巻いたかと思うと、次の瞬間、男は先ほど自来也が吹き飛ばした男の二の舞になっていた。
吹っ飛んだ男が祭りの店にぶつかる。倒壊した店から飛んできた水風船を受け止め、自来也はどこか企むように含み笑った。
「今のが【螺旋丸】!お前に教える超高等忍術だ!!」
自信満々にナルを振り仰いだ自来也は、そこでようやくアマルの存在に気づいた。目を丸くする。
「…誰かいのぉ?」
祭囃子が鳴り響く短冊街。
はからずも捜し人の弟子と出会った自来也は、水風船を片手に首を傾げたのだった。
波の国。
忍びの隠れ里を持たぬ、小さな島国。
つい最近までは海運会社のガトーに乗っ取られ、大名ですら金を持っていないほど貧しかった小国だ。悪徳組織の長でもあったガトーに海運を独占されていた波の国民達は、遮断されている物流を活発化させる為、橋の建設を試みた。
波風ナルの活躍によって、ガトーから自らの国を取り戻した島民は、今現在島と大陸を結ぶ橋の開通を目指し、活気付き始めている。
徐々にだが、ようやく立ち直りつつある、豊富な水と
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