六十五 待ち人
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一層悪くなる場の空気を感じ取って、ナルトがはあ…と溜息をつく。
「重吾、とにかくお前の家で話そう」
鶴の一声。
途端、重吾の顔が輝き、ナルトから手を離した。白と香燐も不満げな顔はそのままだが、ぴたりと言い争いを止める。
不毛な争いにあっさり終止符を打ったナルトを恨めしそうに横目で見ながら「最初から、てめえでやれよ」と再不斬は小さく悪態を吐き捨てた。未だ気絶中の水月を肩に担ぎ直し、唖然とするドスとキンを顎で促す。
そして一行はナルトと重吾の後に続いた。ナルトに懐く重吾を睨みつける白と香燐の視線の鋭さには気づかない振りをして。
空を旋回する小鳥が、重吾の家へ向かう彼らの背中を見送っていた。
同じ空の下。
華やかな街並みを愉しげに駆ける。一見無邪気な子どもにしか見えない二人は、祭りの店の合間を縫うように走っていた。
「そういや、ナルはどうしてこの街に来たんだ?」
一通り遊んだ後、思い立ったように訊ねる。アマルの問いに、ナルは綿飴を頬張るのを止めた。
「…もしかして、この祭り目当てか?」
「ち、違うってばよぉ!ここへは人捜しに来たんだってば」
慌てて否定するナルの言葉を聞いたアマルは目を瞬かせた。やにわに俯く。ナル同様に食べていた綿飴をじっと見つめ、「そっかぁ…」とアマルは頷いた。
「オレと同じだな」
「?アマルも誰か、人を捜してんのか?」
不思議そうに首を傾げるナルに、アマルはうっすらと微笑した。寂しげな笑みを浮かべ、「恩人なんだ」と小さく呟く。
その声音は狂おしいほど切なげなものだった。
直後、顔を上げる。寸前とは一転した明るい声で、「それで捜してる最中に、今の先生に弟子入りしたんだ」とアマルは誇らしげに答えた。
「オレもオレも!ここへはエロ仙人と来たんだってば!!」
「エロ仙人?」
「オレの師匠だってばよ!」
はいはいっと手を上げるナルを見て、アマルは満面の笑みを浮かべた。
「なんか、似た者同士だな、オレ達!」
「そうだってばね!」
にこにこと笑顔で綿飴を頬張る二人の子ども。微笑ましい光景だが、次第に彼女達は自身の師匠について愚痴を言い始めた。
「でもさ〜。エロ仙人ってば、すっげ〜女好きで…」
「オレの先生も賭博が好きで、困ってるんだよな…」
「今捜してる人もすっごい美人だからとか…でもエロ仙人と同い年だからなぁ〜」
「美人なのは美人なんだけど、毎回容姿を変えるんだよ。おかげで偶にわからなくなる」
「あと『イチャイチャパラダイス』ってよくわかんない小説書いてるんだけど、その取材の為に覗きするのはおかしいと思うってばよ」
「借金取りから逃げる為に姿を変えるってのは、ちょっとな〜。というか
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