第三章
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第三章
「それがね」
「またそりゃ面白い店だな」
「スーパーマンと同じよ」
今度は誰でも知ってるヒーローを出してきた。
「ここぞっていう時に出るのよ」
「そりゃまた楽しいことで」
「しかも味もいいから。食べてよ」
「わかったぜ。けれどまずかったらな」
「どうするつもりなの?」
「あんたにデートしてもらうぜ」
ここでまた言ってやった。勿論ジョークだ。
「それでいいな」
「まずかったらね」
けれど女の子は自信たっぷりに笑ってこう言ってきた。
「喜んでそうしてあげるわ」
「そうか。じゃあ楽しみにしてるぜ」
俺も相棒もここでまずはその太い小麦のヌードルを口にした。すると。
「美味いな」
「ああ」
思わず言っちまった。これでデートはなくなった。
「いけるな」
「サンドイッチもな」
「じゃあデートはなしね」
女の子も言ってきてくれた。
「残念だったわね」
「まあ美味いものが食えたからな」
「それでよしとするか」
こう言い合って飯を食ってそれからまたドライブをはじめた。相変わらず全速力でかっ飛んでやる。
「おい」
「どうしたんだ?」
「前のポルシェな」
相棒が運転する俺に言ってきた。見れば前に一台ポルシェがいる。
「どうするよ」
「あれか?」
「ああ。どうしてやる?」
「そんなの決まってるだろ」
俺はニヤリと笑って答えてやった。
「抜くんだよ」
「トラックでかよ」
「トラックでポルシェ抜くなって法律なんかあったか?」
笑いながら言ってやった。そのニヤリとした笑みのまま。
「そんなのねえだろ」
「そうだな。じゃあやってやるか」
「よし、見てな」
相棒への言葉だ。その格好だけでとろとろ走ってるポルシェの後ろからかっ飛んでやってそれで横を一気に抜いてやった。わざと右から抜いてやって座席からポルシェを運転してる奴に言ってやった。見たら半端なリーゼントをしてるしけた野郎だった。
「よお、悪いな!」
「トラックがポルシェをかよ!」
「俺のトラックは特別だぜ!」
笑ってこう言ってやってそのまま駆け去ってやった。そのまま飛ばしていく。その中で相棒がまた俺に言ってきた。
「こういうのが楽しいんだよな」
「そうだな」
「三〇〇〇マイルの旅だな」
ふとこう言ってきた。
「長いようで短いか?」
「短いぜ。小さいからな」
俺は鼻歌混じりで相棒に返した。
「アメリカもな」
「小さいか」
「俺達にとっちゃそうだろ」
これが俺の小さいって意味だった。俺達にとっちゃこのアメリカは何処もかしこも庭みたいなものだ。平気で何処にでも行ける。それも気楽に。
だからこう言えた。仕事という建前でこの国の何処にでも行ける。本当にいい身分だ。
けれどないものも
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