第二章
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第二章
「じゃあばいばいってわけだ」
「そうよ。ばいばい」
「けれど注文は聞いてくれるよな」
「それが仕事だからね」
この辺りはしっかりしていた。女の子は楽しく笑って俺と相棒に言ってきた。
「それで何にするの?」
「ジャパニーズヌードルとサンドイッチにするか」
「じゃあ俺もだな」
メニューを見てすぐに決めた。何かこのジャパニーズヌードルってやつがかなり気になったからそれを注文することにしたってわけだ。
「それ頼むな」
「すぐにな」
「わかったよ。じゃあすぐに持って来るわね」
女の子はすぐに店の中に消えた。ピットインには俺達以外にも所謂同業者がいてそれぞれエネルギーの補給をしている。ついでにトラックにもそうしていたりする。
「振られたな」
相棒が笑いながら俺に言ってきた。
「残念だったな」
「ああ、ただのおまじないだからいいさ」
けれど俺は何もない顔で言葉を返した。
「こうして女の子に声をかけるとな」
「何かあるのかよ」
「事故に遭わないんだよ」
この仕事をしてるとどうしても付き物だ。車の事故だけが怖い。それで俺はいつもこうやっておまじないをしながら仕事をしてるってわけだ。
「声をかけておくとな」
「またそりゃ面白いおまじないだな」
「御前もしてみるか?」
「いや、俺はいい」
けれど相棒は笑ってこう言ってきた。
「もう御守りがあるからな」
「御守りかよ」
「これさ」
応えて胸からあるものを出してきた。見ればそれは十字架だった。ちゃんとキリストもそこにいる。
「これがあるからな」
「へえ、御前結構真面目なんだな」
「神様だけは信じてるからな」
相棒は笑ったまま俺に言ってきた。
「だからさ」
「意外だな。俺は結構いい加減だぜ」
そりゃ天使とかもいるだろうとは思っている。けれど俺にとっちゃさっきみたいに女の子に声をかける方がもっとしっかりとしたおまじないになっていた。
「教会にもあまり行かねえしな」
「そうだろうな。御前はな」
相棒もそれはわかっている感じだった。
「そうだと思うぜ」
「何だよ、わかってたのかよ」
「何年一緒にいると思ってんだよ。わかるさ」
笑顔のまま俺に言ってきた。
「ハイスクール出てから二人でずっとやってるからな」
「それで七年か」
「もうすぐ八年だな」
思えば長い付き合いだ。こいつとはハイスクールで知り合ってからだ。だからかれこれ十年にはなる。それだけ長い付き合いになっていた。
「もうな」
「そうだな。それでな」
「ああ」
「飯はまだかよ」
こう思った時だった。あの女の子が来てその飯を出してくれた。
「お待ちどうさま」
「グッドタイミングだなおい」
俺は今来たメニューを見て思わず言っちまった。
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