第六十六話 聡美の迷いその八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「中々広まらないので」
「カレーの様にですね」
「その点カレーは幸運でした」
そのインド料理の代表的なものはというのだ、今では日本の完全に定着しているその料理にしてもだというのだ。
「海軍から広まってです」
「海軍ですか」
「日本海軍です」
帝国海軍のことである、海上自衛隊の前身と言っていい。
「あの海軍からです」
「カレーは広まったのですね」
「はい、そうです」
こう聡美に話す。
「海軍で栄養がよく保存もいい料理として」
「それでカレーが注目されてですか」
「海軍では毎週食べられる様になり」
「それが国民の間にも広まったのですね」
「洋食としても広まりました」
「成程、そうでしたか」
「カレーは海軍の存在が大きかったです」
広まるには、というのだ。
「そうした意味で幸運でしたし」
「味もですね」
「日本人に合う様に海軍でアレンジされてから広まりましたので」
「成程、そうでしたか」
「そうです。ですからギリシア料理も」
「そうなればいいですね」
聡美はここでは希望はしているがその希望は頼りないものだと笑顔に出してそのうえでマガバーンに述べた。
「本当に」
「希望ですか」
「ギリシア料理もいいということを知ってもらいたいですね」
「そうですか」
「ではです」
聡美は再びコーヒーを飲んで言った。
「今はこのコーヒーを飲み」
「ケーキを食べてですね」
「そのうえで考えさせて頂きます」
ギリシア料理以外のことも話すのだった、そうして。
聡美は喫茶店で話をした後でマガバーンとも別れた、そのうえで一人で六甲のある山の頂上に来た、そこでだった。
彼女はその場で目を閉じ心の中で彼女達を呼んだ、すると暫くして聡美の心に彼女達が問うてきたのだった。
『アルテミス、どうしたのですか?』
『何か御用ですか?お姉様』
「はい、実はです」
聡美は顔を上げて声達に答えた。
「貴女達にお願いしたいことがありまして」
『セレネー姉様のことね』
『あの方のことですね』
「はい」
その通りだとだ、聡美は声達に返す。
「そのことです」
『今までそのことで私達に何かを言うことはありませんでしたが』
『それがどうしてなのですか?』
「気付いたのです、私だけでは無理だと」
顔を見上げたまま答える。
「そのことがわかったのです」
『そうですか、だからですか』
『それで』
「お願い出来るでしょうか」
聡美は声がする方に顔を向けて頼む。
「そうして頂けるでしょうか」
『そのことを待っていました』
『今まで』
声達は聡美の言葉を受けてこう答えてきた。
『貴女が私達に声をかけてくれることを』
『そのことを』
「そうだったのですか」
『ですが貴女は全てを一人
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ