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久遠の神話
第六十六話 聡美の迷いその四

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「私はそうしたことは」
「他の方に救いを求めることはですか」
「好きではありません」
 これもまた聡美の性格故のことだ。アルテミスである彼女の。
「どうしても」
「そうでしょうね、貴女は」
「お姉様を止めるのは私です」
 聡美はこのことは毅然として言い切った、ここでは顔も上げている。
「それはです」
「だからですか」
「はい、それは」
 したくないというのだ、どうしても。
「私だけで」
「しかしそれを言えば私もです」
 マガバーンは聡美に返した。
「私だけで出来ることはです」
「それはですか」
「殆ど何もありません」
「そうは見えないですが」
「人は小さなものです」
 ここでは微笑み聡美に応えた。
「ですから」
「限られていますか」
「非常に」
 そうだというのだ。
「人間は神以上にですね」
「その持っている力の関係で」
「しかしです」
「一人で何かをしたいですか」
「出来ることなら、ですが」
 それでもだというのだ、ここで。
「今の様な状況ではです」
「どなたかの助けを借りてでも」
「戦いを止めたいのですね」
 切実な顔で聡美のその目を見て問う。
「そうですね」
「それは」
「どうしてもですね」
「ずっとそう思ってきています」
 これも神話の頃からだ、聡美はひたすらそう思ってきてセレネーと対していた。そしてそれを止められないでいたのだ。
 そしてそれに対してだ、マガバーンは言うのだ。
「それならばです」
「アテナ姉様やペルセポネーの」
「お二人はお嫌いではないですね、そして」
 さらに言うことは。
「お二人は貴女に手を差し伸べない方でしょうか」
「いえ」
 聡美はマガバーンのその問いに首を横に振って答えた。
「そうした方ではありません」
「そうですね」
「むしろ常に私に何かあれば」
「助けてくれていますね」
「私にとって掛け替えのない方です」
 そこまでの存在だというのだ、彼女達は。
「むしろ困っていた程です」
「困っていたとは」
「私は少し困っていれば心配してくれて助けてくれたので」
 アテネもペルセポネーもだというのだ、マガバーンはここに聡美の幼い頃からの日々も見たがそれは言葉には出さなかった。
「それで困っていました」
「それだけ人に迷惑をかけることはですか」
「好きではないです」
 そういうことになるのだった。
「ですから」
「今回もですね」
「はい、どうしても」
 聡美はこう言う。
「そう思っています」
「しかしです」
「戦いを止める為にはですか」
「貴女の出来ることが限られていて」
「それで戦いを止められないならですか」
「是非です」
 ここでは強い口調だった。
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