第六十六話 聡美の迷いその三
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「そうされてはどうでしょうか」
「あの、それは」
ここまで話を聞いてだ、聡美は目をしばたかせた。
それを何度かしてからだ、こうマガバーンに言ったのだった。
「これまでそうしたことを言ってくれる方はどなたも」
「おられませんでしたか」
「ギリシアにいる頃は周りにニンフ達もいましたが」
彼女達を侍女にしていたというのだ、これは他の神々も同じであっる。
「ですがそれでも」
「どなたからもですか」
「そうです、実はこのことは私とお姉様のことと考え」
「どなたとも相談しなかったのですか」
「元々誰かと相談することは非常に少なかったです」
これは聡美の性格だ、実は彼女は自分で動く性格であるがそこで深く考えることや周りを見ることはしない傾向がある。オリオーンとのこともここから悲劇になったのである。
「特にこのことは」
「そうですか」
「私はお姉様のことだけを考えていました」
そして剣士達のことをだ。
「ですが」
「それでもですか」
「考えてはいました」
それは事実だというのだ、間違いなく。
「ですが視点は一つでした」
「セレネー女神と剣士達だけですか」
「そうでした」
神話の時代からそうだった、聡美即ちアルテミスは生真面目で一途だ。しかしこの性格がかえってだというのだ。
「他にはです」
「見えなかったのですね」
「見ておらず考えていませんでした」
今気付いたことだった、神話の頃から。
「他の方に相談もせず助力も求めることも嫌いでしたから」
「しかしこの戦いはです」
「私だけ、ではですか」
「ギリシアで何故神々の力がそれぞれ分けられているか」
ここからも考えるマガバーンだった、ヒンズー教もリシアのそれと同じく多神なのでこうした考えも出来るのだ。
「お互いに助け合う為でもあるのではないでしょうか」
「お互いにですか」
「はい、お互いにです」
まさにそれではないかというのだ。
「そうも考えられるのではないでしょうか」
「それは」
「貴女はペルセポネー女神はお嫌いでしょうか」
「いいえ」
首を横に振って答える。
「愛しています、今も」
「そうですね」
「幼い頃はどれだけ共に遊んだかわかりません」
ここでも懐かしむ顔になる、そのうえでの言葉だった。
「妹であるだけではなく友でもあります」
「そうした方ですね」
「ペルセポネーがいてどれだけよかったか」
こうまで言うのだった。
「そしてそれはです」
「アテナ女神もですね」
「素晴らしいお姉様です」
アテネについてはこう言う。
「何処までも聡明でお優しくそれでいて勇敢で」
「お二人共尊敬していますね」
「はい」
まさにその通りだというのだ。
「心から」
「信頼もしている」
「それならで
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