第三章
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第三章
「それはな。けれど俺達は確かに不良さ」
「そうだよね。不良じゃない」
細目も煙草を取り出してきていた。
「俺達って。それが俺達のポリシーだし」
「それは変えるつもりはないぜ」
髭はリーゼントを櫛で整えだしていた。リーゼントはこいつのポリシーだった。
「絶対にな」
「俺もだな」
ノッポも煙草を出して吸いはじめていた。
「それはな。変えるつもりはないな」
「僕もかな」
「俺も」
白も弟もそれは同じだった。最後は僕だったけれどここで足元を見た。そこにあるのはグリースの空き瓶だった。それが転がっていた。
「それで御前はどうなんだ?」
「変わるか?変わらないか?」
「そうだよな」
その空き瓶を見る。それからそれを手に取って。それから答えた。
「俺もこのままでいいな」
「そうか」
「じゃあ全員だな」
「ああ。たださ」
その手に取った空き瓶を手に取って。それを皆に見せた。
「これだけれどさ」
「これ?」
「只の空き瓶じゃねえかよ」
「そうさ、空き瓶さ」
僕もそれは認めた。それは本当に只の空き瓶で。それ以外の何でもなかった。
「只のね」
「そんなのがどうしたんだよ」
「ただ単に落ちてるだけじゃないのか?」
「そうだけれどね。それでも入るものはあるよ」
少し笑って皆に話した。
「空だから」
「空のそれはどうするの?」
「それで」
「これに夢を入れないか?」
こう皆に提案した。
「皆の夢。夢ってどれだけ大きいかわからないけれどさ」
「その中に入れるのかよ」
「俺達の夢を」
「どうかな」
ここまで話してまた皆に尋ねた。
「それで持って行かない。東京に」
「東京にかよ」
「俺達の悪ガキのままの心も」
それも持って行くつもりだった。それも。
「持って行こうよ、東京にさ」
「そうだな」
リーダーが最初に僕の言葉に応えてきた。
「それもいいよな。ただな」
「ただ?」
「一個じゃとても足りないぜ」
リーダーは笑って僕に言ってきたのだった。
「一個じゃな。一人分も入らないだろうな」
「一人分も入らないか」
「俺達の夢は大きいんだ」
その大きさには絶対の自信があった。東京に出てメジャーになって歌の世界で頂点に立つ。その夢の大きさは本当に物凄いものだった。
「この程度じゃないからな」
「じゃあさ。瓶集めない?」
ここで弟がくすりと笑って皆に言ってきた。
「この空き瓶。もっと」
「もっとかよ」
「だってさ。一個じゃ全然足りないじゃない」
リーダーの言葉を受けてだった。
「それだったらもう何個でも。どうかな」
「ああ、それいいな」
ノッポが煙草を指持ってから弟のその言葉に頷いた。
「もう何個もあるしな。見たら」
「っ
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