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ヘタリア大帝国
TURN116 カテーリンの資質その六
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「勝っても絶対にその直後に牙剥いてくるからな」
「そうですね、あの国は」
「背中からくるからな」
 そしてぶっすりとしてくるというのだ。
「オフランスとは今のうちにな」
「無理にでも軍事条約を結んで」
「備えにしような」
 こう話すのだった、そしてだった。
 ここで紅茶が来た、ティーセットもだ。セーラはいつも飲んでいるそれを口にしてからだ、今いる面々にこう言った。
「若しかするともう」
「もう?」
「もうとは?」
「エイリスの時代ではなくなっているのでしょうか」
 沈んだ顔での言葉だった。
「最早」
「いえ、そう思うことは」
 どうかとだ、ロレンスがセーラに諫言した。
「よくありません」
「そうですか」
「はい、よくありません」
 こう言ったのである。
「エイリス以外に人類を導ける国はあるでしょうか」
「ありません」 
 到底だとだ、セーラも言う。
「ガメリカや中帝国に理念がありません」
「日本にもまた」
「はい、ありません」
 こうきっぱりと答える、セーラはこう確信しているのだ。
「ソビエトには理念がありますが」
「あそこの理念はな」
 イギリスはどうもといった顔でだ、セーラに述べた。
「共有主義はな」
「決して広めてはならないものです」
 セーラも共有主義についてこう言い切った。
「そしてファンシズムも」
「あれもだな」
「ガメリカや中帝国はただ国力があり威を見せているだけです」
 セーラは彼等のそうした面を見て言っていた。
「そして日本は歴史があるだけです」
「他にはねえか」
「彼等の資産主義にあるのはただの拝金主義だけです」
 所謂ノブレス=オブリージュがないというのだ。セーラはそうした意味で大衆をあまり信じてはいなかった。
 そしてだ、こうも言うのだった。
「そうした国々に世界を導けるのか」
「無理ですね」
 イギリス妹はセーラと同じ考えだった。
「到底」
「そうです、そして共有主義は」
「あれファンシズムよね」
 マリーは共有主義をファンシズムと同一視していた、それ故の今の言葉だ。
「どう見ても」
「そうですね、その実情はですね」
「カテーリン書記長が絶対だから」
 マリーはカテーリンに注目して言っていた、彼女にだ。
「国家の全部があの書記長の下にあるのよね」
「そして政党は一つです」
 共有党だけだ。
「あらゆる産業も軍も書記長の下にあります」
「それってそのままじゃない」
 ファンシズムだというのだ。
「ファンシズムもアドルフ総統やベニス統領が全部やってたから」
「まあイタリンはそれが結構やばかったけれどな」
 イギリスはイタリンのそのかなり緩んだ感じについても述べた。
「イタリン以外にはな」
「ただ、あの国はね」

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