第六章
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第六章
それ以来奴等を調べるのに躍起となった。調べているうちに聞いたことが本当だとわかってきた。法律には憎い程触れちゃいねえ。それでいてやってることはかなり悪どい。確かにバラすしか手はないように思えた。だがここで俺を止めるものがあった。
「俺一人が被るならいいが」
彼女がいた。何も知らず純粋に俺を信じてくれる彼女が。どうするべきか、流石に迷った。
ある日俺は教会に行った。そこにはやっぱり彼女がいた。俺は尋ねた。
「なあ」
「何?」
「この教会がなくなったらどうするつもりだ」
「そんなこと考えられないわ」
すぐにそう答えてきた。
「考えられねえか」
「ええ。だってこの教会は私の全てだから」
「全て、か」
「そうよ。私が育って、今いるところだから。ここがなかったら私は生きてはいけない」
「どうしてもか」
「ええ。どうしても」
彼女の声は普段のものより強かった。
「他じゃ生きていけないわ。神様もおられるし」
彼女にとって神はここにしかいないのだ。そしてそれは俺にとっても同じだった。ただ俺は教会に神様を見ていたわけじゃない。今目の前にいるこいつに見ていたのだ。
「絶対に離れたくはねえんだな」
「ええ」
声はさらに強くなった。
「どうしてもね。これだけは」
「わかった」
俺は物分りのいいふりをして頷いた。
「じゃあそこにずっといられるようにしてやるよ」
「どういうこと?」
「御前は知らなくていい」
言える筈もなかった。俺は彼女に背を向けた。
「邪魔したね」
「もう帰るの」
「ちょっと顔を見せただけだからな。あばよ」
俺はアパートに戻った。そしてその夜一人で街に出た。その手に青い稲妻を持って。
夜の街を探し回った。獲物はここにいる。直感がそう教えていた。
探した。探し回った。顔は覚えている。後は見つけ出すだけだった。そして遂に見つけた。
奴等は夜道を歩いていた。灯りはなかったがはっきりとわかった。獲物の顔が。
ナイフを構えた。そして突進した。それからの記憶はない。気が着いた時には奴等は血の海の中にいた。俺の手にある青い稲妻は赤く染まっていた。向こうから赤い光とサイレンの音が聞こえてきた。俺の手に手錠がかけられた。
「さあ乗れ」
「ああ」
俺は鉄格子のある車に乗せられた。乗り、扉が閉められた時に後ろを振り返った。何処からか連絡があったのだろうか。そこには彼女がいた。
「どうした」
警官も俺が振り向いたことに気が着いた。尋ねてきた。
「何もねえ」
俺はそう答えた。
「そうか。ならいい。行くぞ」
「構わねえよ」
車は出発した。俺は監獄に向かった。
鉄格子の窓から彼女が見える。何か言いたそうだった。だがそれは俺にはもう聞こえない。それがわか
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