第五章
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だけ純粋だということか。
「けれど貴方はいい人だった。あの人達だって同じよ」
「そう思うのか?」
「ええ、そうよ」
そこまで聞いて俺はやり方を変えることにした。これでは駄目だと思った。
どうするか、彼女に知られてはいけない。俺はすぐに動くことにした。陰ながらだ。こうしたことは昔から得意だ。生憎いい生き方はしちゃいない。俺は陰道に入ることにした。
どうやら奴等は教会の土地を狙っているらしい。つまり地上げ屋か。まだいるとは思わなかったがそれでもいることは事実だ。何とかしなくちゃいけないのは変わらなかった。
やっていることは法律スレスレらしい。そうしたことに詳しい奴に聞くとかなり悪質だが法には触れてはいないらしい。そして連中はいつもそうやって土地を騙し取っているらしい。
「奴等はかなり狡賢いぜ」
そいつは俺にそう耳打ちした。俺はそれを聞いて頷いた。それから言った。
「どうすりゃいい?」
「そうだな」
そいつは暫く考えてから答えた。
「法律とかじゃ連中にはどうもできねえな」
「どうしようもないか」
「法律じゃな。法には触れちゃいねえ」
「方法はないのかよ」
俺は眉を顰めさせて問うた。
「どうしようもねえのか?」
「ねえな」,br> 素っ気無く答えられた。
「どうしてもっていうんならバラすしかねえが」
「バラすか」
「けれどそこまでやる義理でもあんのか?ねえだろ、おめえには誰にも」
「まあな」
こいつには教会のことを教えちゃいねえ。教えるつもりもなかった。
「だったらいいじゃねえか。考える必要もねえ」
「そうだな」
その場ではそう答えた。
「御前さんは少なくとも連中とは何の関わりもねえしな」
「そう思うか」
「あるのか?」
「・・・・・・いや」
言う必要はなかった。そんなつもりもなかった。俺はそう自然に答えた。
「生憎だが連中と関わるのは御免だからな」
「わかってるさ」
俺はそう答えてその場から消えた。そしてアパートに戻った。
「バラす、か」
ふとそう呟いた。その途端心の奥底から殺意がこみ上げてきた。それが何故かわからなかった。その時は。
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