第T章:剣の世界の魔法使い
茅場晶彦
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「『他人のやっていることをはたから見ることほどつまらないことはない』……そうだろう、茅場晶彦」
キリトに睨みつけられたヒースクリフは、しばらく沈黙したのち、あきらめたような笑みを作って彼に問うた。
「……なぜわかったのか……聞くまでもないな。あのデュエルの時だろう」
「ああ。あの時、あんたあまりにも速すぎたぜ。プレイヤーの限界を超えていた」
キリトが苦笑して、肩をすくめる。ヒースクリフは、薄く笑った。
「やはりか。あの時は君の反射速度に着いていくために、オーバーアシストを使わざるを得なかった。あれは私にとっても手痛い失態だったよ……」
ヒースクリフは《攻略組》を睥睨すると、高らかに言い放った。
「そう。私が茅場晶彦だ。加えて言うならば、この城の最上階で君たちを待つ、最終ボスでもある」
プレイヤー達にざわめきが広がる。キリトが苦虫をかみつぶしたような顔で言う。
「いい趣味とは言えないぜ。最強のプレイヤーが、一転、最悪のラスボスか……」
「プレイヤー達がどんだけ絶望すると思ってんだよお前……」
コクライも厳しい表情で言う。
「なかなか面白い展開だろう?九十五層で明かそうと思っていたんだが……。《二刀流》はこの世界で最高の反射神経をもつものに与えられた、勇者の証だ。魔王たる私と戦うための。《雌雄剣》は二人で一人のユニークスキル。決して一人だけで魔王を倒せないことを証明するためのスキルだ。私が必要としなくなった《神聖剣》を受け継いだものと共に、君たちは私と、アインクラッド第百層ラストダンジョン《紅玉宮》、その《王の間》にて激突するはずだった……」
「《二刀流》《神聖剣》《雌雄剣》《暗黒剣》《抜刀術》《手裏剣術》《無限槍》《射撃》《双斧》、そして、英雄たちの武器を鍛え上げる神の鍛冶、《創造》――――10人の、《創造》使いを加えれば11人の英雄こそ、この世界で最後に残るプレイヤー達。これからボスとの戦いは激しさをまし、犠牲無しでは攻略不可能となってくる。あなたの離反を皮切りに、全階層の《犯罪防止コード》は消滅し、町中で殺しが行われる。主街区にモンスターが侵入する。最下層のプレイヤー達は、なすすべもなく恐怖の中で皆殺しにされるでしょうね」
ヒースクリフの言葉を奪い、ドレイクが後を続ける。ヒースクリフ――――茅場晶彦はキリト、コクライと話す時とは別人のような厳しい表情でドレイクを見る。
「そうだ。何らかの処置をとらない限り、それが実現するだろう。ドレイク君、といったか」
「はい。以後お見知りおきを」
ドレイクはぺこりと礼儀正しく頭を下げる。しかし、ドレイクの『場の空気を操る』とでもいうべき能力は、茅場には通用しなか
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