第T章:剣の世界の魔法使い
茅場晶彦
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
自分のHPゲージを、緑の明滅する光が囲い、その横に小さく稲妻型のアイコンが出現していることに気が付いた。
「麻痺……!」
「行動を制限するだけの麻痺だ。頭から上は動くし、多少なら手や足も動かせる。ただし、私が許可するまで決して解除されない」
「邪魔されないように、ってか……こだわるじゃねぇか」
コクライがヒバナを抱き起しながら、絞り出すようにうめく。
どちらにせよ、あとには破滅しかない。ならば、少しでも多くのプレイヤーを救うべきだ。キリトが立ち上がる。二刀を構える。
「アスナ、ごめん。けど……」
「わかってる。少しでも多くの人を助けるべきだもんね……勝ってね」
「ああ」
キリトは、不敵に笑うと一歩踏み出した。
「ヒバナ」
「……何?」
「悪い。《雌雄剣》はやっぱり封印だわ」
にやり、と笑って、コクライは本来の得物を構える。アインクラッド最高の鉱石たるX級鉱石、《天之緋々色金》によって作られた、文句なしに最強クラスの、漆黒と金色の刀。《殺人刀》の実力を100%引き出すためだけの刀。
「ドレイク」
「……シェリーナ、ありがとうございました。あなたのおかげで、私は自分を一人の人間として見られた――――『人でありたい』と思ったその時から、私は人であった……」
そんなことを言って笑うドレイクが、まるでお別れの言葉を言っているようで――――
「そんなふうに言わないでください!!それじゃぁ、もう二度と会えないみたいじゃないですか!!」
ドレイクはその叫びを聞いて、はっ、としたように目を見開いた。そして、数瞬後、いつものあの穏やかな笑みを浮かべて、
「……それじゃぁ、次は現実世界で会いましょう」
シェリーナの頭を撫で、そして、立ち上がった。
「お待たせしました」
「あんたが来てくれなければ、どの道さっきのボス戦で死んでた。あんたを責めるわけにはいかねぇしな。その代り、しっかり働いてもらうぜ」
コクライが言う。
「はい」
ドレイクが答えるのと同時に、全員が対峙する。
キリトが言う。
「本気で行くぜ」
「来るがいい。ただし――――私も本気で行く、ということを忘れるな」
茅場の剣が纏っていた闇が、彼自身にも伝達していく。赤い鎧が、神聖なる十字剣が、十字盾が、その姿をより神々しく、より禍々しいものに変えていく。恐らくあれこそが、このゲームの《魔王》としての茅場――――ヒースクリフの姿。
カラーカーソルが緑から、奈落のような黒色に変わる。ネームタグが出現する。《Devil The Heathcliff of Ainclad》。この世界最
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ