第T章:剣の世界の魔法使い
茅場晶彦
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叫を上げて剣に蓄積されていく―――――
「それは、《プレイヤーたちの負の感情》!?」
「まさか……完成していたのですか!?ナーヴギアで、《魂の領域》に辿り着く機能が……!」
シェリーナは驚愕のあまり叫ぶ。ユイと出会った時、ディスティと戦った時、出現した、プレイヤー達の絶望の塊。それが、茅場の剣に集まっている。
「むん!」
茅場の聖剣……いや、絶望を吸った《魔剣》が、振るわれる。斬撃は、衝撃波となって飛んでいく。そして――――破壊をもたらした。
「な……」
「なんだ、これは……」
キリト、コクライが絶句する。《攻略組》からも悲鳴が走る。当然だろう。なぜなら、茅場の剣の闇の波動に当たったところが、まるで最初から《何も存在しなかった》かのように、ごっそりと《消滅》したのだ。ポリゴンが崩れ、ボス部屋のデータが崩壊し始める。
「君たちは、幾度となくこの世界で『あり得ない事』を見てきたと思う。動かない体が動く。使えないはずの武器がもてる。見えないはずの魂が見えた、などだ。それだけではない。それは現実世界の君たちですら経験したことがあるだろう。人の行動の結果、その全てを決めるのは、心の強さだ。描いたイメージ力の力だ。それが、魂の力だ」
ヒースクリフはなおも語る。
「《心意システム》。それがこの力の名前。強く渇望することによって、魂の願いを具現化させる。いわば、《火事場の馬鹿力》に似たようなものだ。すべての事象を、『そうあれ』と願うことで上書きする。それが、このシステムが起こす現象……。キリト君やコクライ君……私と戦うべく現れたこの世界の《勇者》と戦って敗北するならば、それでよいと思っていた。いや、キリト君たちがそれに気づき、私を糾弾した時点で、我が正体を明かし、最後の戦いに臨もうと思っていた。それならば、この力を使うことはなかった。私は公平さを望む。こんなイレギュラーな力は使いたくなかった……だが、それは止めだ」
茅場は再度剣を振るう。世界が、崩れていく。
「《介入者》によって、この世界は汚されてしまった。汚れた世界を許すわけにはいかない。結果はそのままに、過程だけを変えよう。……今この場で、全てのプレイヤーを滅ぼす。キリト君。コクライ君。そして、介入者よ。それを止めたくば、私と戦うがいい。私を倒せれば、生き残ったプレイヤー、その全てを開放することを約束する」
「……いいだろう」
茅場はその答えに満足そうにうなずくと、左手を振った。青い《システム・ウインドウ》が出現する。茅場がそれを押すと、全てのプレイヤーが、体が動かなくなったかのようにその場に倒れた。
いや、様に、ではない。動かないのだ。
シェリーナは
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