第T章:剣の世界の魔法使い
茅場晶彦
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った。茅場はより一層顰めた顔で、ドレイクに問う。
「ドレイク、か――――君のプレイヤーIDは見たことがない。行ってみれば、君は10001人目のプレイヤーだ―――――君は、誰だね?いや、何だね?君のような存在も、《魔法》というスキルも、あのようなモンスターたちも、私は作ってなどいない。公平さに欠けるからだ……。教えたまえ。君は……君たちは、何だ?」
シェリーナの感情が、沸騰した様に熱くなる。これは――――《怒り》だ。
茅場の言った『何だね?』という言葉は、暗にドレイクや《エネマリア》のモンスター達が人でないことを蔑んでいるように聞こえる。それは、真の人ではないことを気にするドレイクに、《エネマリア》のモンスター達に対する最大の侮辱――――シェリーナが立ち上がろうとしたその時、ドレイクがシェリーナを制した。ドレイクはちらりとこちらを見ると、唇の動きだけで『ありがとうございます』と言った。
ドレイクは茅場に向き直ると、堂々と宣言する。
「私は――――ドレイクです。それ以外の何者でも、何物でもない」
「――――そうか。ならば別の質問だ――――君は、なぜここにいる?どうしてここにいる?誰が、君を此処まで導いた?」
茅場は、おもちゃをとられた子どものような不機嫌な表情でドレイクを問い詰める。ドレイクは目を閉じ、数瞬だけそのままでいた後、答える。
「……浅木藍」
「……やはりあの人か。私の他に《SAOに介入する》ということができる存在は、彼女しかいないと思っていた――――」
ヒースクリフは、納得した、しかしかすかな苛立ちをにじませた苦笑をした。
「浅木先輩とは、私が初めて重村ラボに入ったその日から、一か月だけ共に過ごした。研究室に引きこもって出てこない彼女のために食事を届けたりするのが、当時新入りだった私の仕事だった。彼女は天才――――いや、あれはもはや神の域だった。一度だけ見せてもらった彼女の研究ファイルは、当時の私をはるかに凌駕していた――――」
ヒースクリフの独白はなおも続く。
「超えられたと思っていた。この《真の異世界》たる《ソードアート・オンライン》の完成をもってして、私は彼女を超えたと思っていた――――しかし、違うのだな。彼女はもう辿り着いているのだろう。《魂》を管理する領域に。理解しているのだろう。そう、君もだ、ドレイク君。この力を――――」
ヒースクリフが、右手の剣――――《解放者》が片割れ、《神聖十字剣》を高々と掲げる。そして、鋭く言い放つ。
「《心意》」
その言葉によって、茅場の剣に、闇が宿る。
ぎぃいい、きゃぁああ、うわぁああ……闇は、絶
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