第T章:剣の世界の魔法使い
《エネマリア》
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耐えてください!!」
「ドレイク!?」
「それで、全て終わります!!」
ドレイクが叫んだ。《攻略組》が一様に首肯する。ドレイクが杖を構えると、今まではあまり無かった、いわゆる『詠唱』という物を始める。
ドレイクによると、彼のもつ杖は《魔法》スキルの術式を起動するときに使う『詠唱』を短縮することができるらしい。ほぼすべての術式がそれで詠唱をカットできるのだが、今ドレイクが唱えている術式は、それができない。
すなわち、最強クラスの魔法。
ドレイクの詠唱は速く、言葉も複雑で、なんといっているのかは理解できない。しかし、そのワード一つ一つに、なにか強い、非常に強い力が込められているのが分かる。
《攻略組》は、ドレイクの時間を稼ぐべく戦う。時折、ぱりん、かしゃん、とプレイヤー達が死んでいく音がする。けれど、仲間の屍…残らないが…を乗り越え、戦士たちは戦う。
「ディスティ!」
『―――――』
死神が、鎌を振るう。
『おおおおっ!!』
黒龍王が、黒炎のブレスを放つ。
『『うおぁあああああ!!』』
キリトとアスナ、コクライとヒバナが、持てるだけの力の全てを出す。
「……」
ただ一人、ヒースクリフだけが無表情に骨百足の鎌をはじく。
小さな百足たちは、無尽蔵に出現する。《攻略組》がひとり、また一人と倒れていく。《エネマリア》のモンスターたちも、少しずつ、少しずつ、その身を散らしていく。
そして。
七分が、経過した。
ドレイクを中心に展開していた、青と金の巨大な立体魔法陣が、カシャリ、と音を立てて完成する。ドレイクが、魂を出し切るかのような声で、その名を叫ぶ。
「―――――――――――《滅びの大津波》ッ!!!」
瞬間、世界が消し飛んだかのような衝撃が、その場にいた全ての存在を襲った。無事だったのは、背景だけ。シェリーナや、術者たるドレイクを含めるすべての者が、吹き飛ばされて壁に激突する。
一瞬だけ、何が起こったのか、シェリーナには見えた。上空から飛来した光の矢が、まるで津波が起こるかのように光の波を放ったのだ。
「これが……」
これが、ナピュシュテムの大波。かつて、世界を滅ぼしかけた大洪水、その名をもった魔術。
一瞬にしてボスの眷属たちは消滅した。さらに、運の悪いことに光の矢の着弾地点にいたボスは、体中が粉々に砕け、見るも無残な姿になっていた。この部屋の王であった骨百足は、HPゲージが空になった後も数瞬、ぴくり、ぴくりと動いたのち、かしゃーん、と意外に儚い音を立てて爆散・消滅した。
今度こそ、ごご、ごごごご……という重々しい音と共に、部屋の奥の扉が開いた。部屋を照らして
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