第T章:剣の世界の魔法使い
死神たちの宴
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込んできたのは、白銀の鎌をもった、巨大な漆黒の死神が、ボスの鎌を弾き返す瞬間だった。
「な……」
「うそ、あれって……」
キリトとアスナが絶句する。死神の頭上に浮かんだカラーカーソルはダーククリムゾン。レベル105以上でなければ太刀打ちが難しい――――即ち、アインクラッド第九十五層以上の強さを持ったモンスターであることが明らかである。
死神の名は、《The Fatal-scythe》―――――名前を彩る《The》のワードは、ボスの証。だが、これはどういうことだ……!?
「皆さん、大丈夫ですか!?」
聞き覚えのある声が、フィールド内に響き渡ったのはその時だった。
その人物は、思いもよらないところから現れた。――――背景である。ボス部屋を構成する岩の壁、その隙間から、ひょっこりと金髪の少女が顔を出す。死地の真ん中だというのにもかかわらず、攻略組のプレイヤー達がその美貌に息をのむ。アスナやヒバナに匹敵する可憐な少女、彼女を、俺は知っている――――
「「シェリーナ!?何でそんなところから……」」
キリトと俺が同時に叫ぶ。なんか今日は妙に奴と気が合うな。
「ディスティ!!しばらくその百足を押さえていてください!!」
『―――――』
ディスティ、と呼ばれた死神が、シェリーナに向かって頷く。これはどういうことか……。ボスモンスターは、いかなる手段をもってしても、手なずけることはできない。なのに、なぜ――――。それは、ヒバナ、キリトやアスナ、そして全てを知っているかのように見えたヒースクリフにですら驚愕すべき出来事だったようだ。
死神が鎌を振るう。ボスとボスの激しいぶつかり合いの中、介入不可の戦場に、シェリーナと、あと一人見知らぬ青年が降り立った。青年は、まさに《魔法使いの杖》としか言えない杖を振りかざして、叫んだ。
「《異形の楽園》の勇士たちよ!!今こそ安寧の殻を破りて、勇者が為にその力振るう時!!」
壁が、崩れる。そこから表れたのは、三十体余りのモンスター達。全員がこの場にいる攻略組のものとよく似たオーラを纏っていた。
「全軍、突撃―――――!!」
『Ooooo――――――――!!!』
そして、三メートルに迫る大きさの黒い巨龍を戦闘に、異形の戦士たちが、屍の狩り手に向かって突撃した。
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