第T章:剣の世界の魔法使い
死神たちの宴
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半減するほどだ。凄まじい威力。
その後も、ボスは天井から降りる気配なく、鎌を打ち付け、岩石落しを続ける。時たま、飛び降りたかと思うと鎌による殺戮を行い、再び上空に逃げる。
「これは……まずいか?」
無意識のうちに呟いていた。ボス部屋の天井は、地味に《魔剱》の効果範囲より高かった。つまり、斬撃が当たらない。それに、度重なる骨百足の攻撃で、そもそもこちらが攻撃できない。かなりピンチだ。
「それでも、やるしかないよ」
隣で、ヒバナが呟く。どうやら同じことを考えていたようだ。頷きあった俺達は、スキルウィンドウから『そのスキル』を選択し、《起動》を推す。直後、俺とヒバナの体が、淡い光を宿す。さらに、俺は白、ヒバナは黒の中華剣に武器を変える。
《雌雄剣》の、お披露目だ。
「行くぞヒバナ!!《クロスレンゲキ》!!」
「了解!」
ボスが何度目かの落下。そのタイミングに合わせて、地面を蹴る。俺とヒバナの攻撃が、左右対称の全く同じモーションで、ボスを吹き飛ばした。
「きょしゃぁあ!?」
ボスが驚愕の悲鳴を上げる。自分に攻撃は当たらないと思っていたのだろう。吹き飛んだボスをねらって、再びの《クロスレンゲキ》。全く同じところにヒットした攻撃が、ボスのHPを削っていく。
《雌雄剣》の専用技、《クロスレンゲキ・ソードスキル》。現在、五種類のそれが俺達には使用可能だ。《クロスレンゲキ》はただの息の合った同時攻撃ではない。攻撃の威力は、通常のソードスキルの二倍。それも、二人合わせてではない。それぞれが、二倍なのだ。例えば二人の剣士が全く同じ威力100のソードスキルを打つとする。大体ソードスキルは左利きプレイヤーのために、左右逆の軌道でも放つことができる。それが全く同じスピード、威力、タイミングでヒットして、100+100で200だ。しかし、《クロスレンゲキ》は単体で100の威力をもち、それだけでなく二倍される。つまり、200+200で、400。加えて、俺達の《雌雄剣》専用武器《干将・莫邪》は、お互いの技の威力をさらに二倍にする。つまり、400+400で、800だ。
「俺達がこいつが飛び上がるのを防ぐ!!その隙に攻撃してくれ!!」
「わかった!!」
俺の叫びに、キリトが応じる。黒と白の二刀をもった《黒の剣士》と、流星のごとく光をまき散らす《閃光》が、ボスのHPを削る。ボスの斬撃攻撃は、ヒースクリフが自慢の防御力で防いでいく。
「まったく、大した防御力だよ……なっ!」
俺達も、今度は《クロスレンゲキ》とは違うソードスキルを打つ。カテゴリ的には《刀》に入る《干将・莫邪》だが、《雌雄剣》のスキル共用能力で、ヒバナも刀のソードスキルが使える。二倍増しの威力にされた斬撃が、ボスをえぐる。
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