第三章
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「地獄だよ、何で俺は他の奴等と違うんだ、生まれたのが」
また怒りがこみ上げてきた。
「そして何もないところで生きてきてよ」
「何もないというのは嘘です」
ここで女はまた言いやがった。今でもはっきり覚えている。
「嘘だあ!?」
怒りがさらに高まったのを感じた。こめかみがヒクヒクしだした。
「はい、そうです」
女は俺を挑発するようにしてまた言った。
「神父様やシスター達がおられたのでしょう」
「・・・・・・ああ」
俺は憮然とした声で答えたのを覚えている。
「それはそうだがな」
「ではそこにはあったのです、何かが」
「フン」
俺はそれを聞いて全身に虫唾が走った。
「神父さん達がか」
「ええ」
女は頷いた。
「その人達が貴方の何かですよ」
「何かか」
「はい」
また答えた。
「よく考えてみて下さい。その人達が貴方に何をしてくれてきたのか」
「覚えてねえな」
「そんなことを言わずに。一度戻られてはどうですか」
「気が向けばな」
俺は嫌々ながらそう答えた。この時は戻る気には到底なれなかった。
「是非」
「わかったよ」
俺はやはり嫌々答えた。
「本当に気が向けばな。いいな」
「ええ、どうぞ」
女は微笑んだ。綺麗でもない、垢抜けない顔だがそれが俺の目に止まった。それを見て俺はふと思った。
(暇な時にでも行ってやるか、冷やかしにでもな)
シニカルにしか構えられなかった。あの爺さんや婆さん達がどれだけ耄碌しているのか見てみたくもなった。死んでいたらそれはそれで面白いと思った。その時はそう思った。
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