第二章
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第二章
たまたまだった。日曜暇にかまけて他所の町をぶらぶらとしていた。そしてそこでふと小さな教会の前を通りかかった。
「教会か」
俺はそれを見て一言そう呟いたのを覚えている。そこで去れば何もなかっただろう。だがこの時無意識に足が動いた。それが何故なのか今でもよくわからない。
中に入った。目の前に十字架があった。俺はそれを見た後目を下にやっていった。
「小さな教会だな」
俺はそう呟いた。何の感想もねえ。俺がいた孤児院の教会と同じ粗末な教会だった。
見ればその前に誰かがいた。女だった。
「ん!?」
それに気付いた俺はその女のところに歩いて行った。
「あんた何をしているんだい?」
跪いていた。祈りをしているのだろうか。その時ふとそう考えた。
「はい」
女は顔を上げた。何処にでもいそうな地味な顔の女だった。髪型も黒のストレートで地味だった。服もだ。何処にでもいるようなつまらない女に見えた。夜の街に行けば幾らでもいるような俺が知っている女達とは全く違っていた。
「お祈りをしています」
「祈りか」
それを聞いて俺は笑わずにいられなかった。
「こんなもんに祈ったって何にもなりゃしねえよ」
そう言って嘲笑した。
「そうでしょうか」
だが女はそれを否定した。
「私はそうは思いませんが」
「何故だい?」
俺は笑いながら問うた。
「私は今まで主の愛によって生きてこれましたから」
「神様ねえ」
俺はさらに笑わずにいられなかった。
「神様が何かしてくれるものかよ」
言いながら腹の底に怒りが溜まるのを感じていた。
「俺なんか生まれた時から感謝したことなんかねえぜ」
「そうなのでしょうか」
「当たり前だ」
俺は答えた。
「何に感謝するっていうんだよ」
「この世に生まれたことに」
女は俺にそう答えた。
「生まれたこと!?」
俺はそれを聞いて笑わずにはいられなかった。
「馬鹿言ってるんじゃねえよ」
笑うと同時に怒りがこみ上げてきた。
「何でそんなことに感謝しなくちゃいけねえんだよ」
「感謝されないのですか?」
「当たり前だ」
俺は怒気を含んだ声でそう答えた。
「あんた俺のこと何にも知らねえだろ」
「はい。御会いしたばかりですから」
「だったら教えてやるよ。俺がどうやって生まれたのかな」
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