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鉄槌と清風
30部分:29:修道騎士シャッハ
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、体を低くして左足で足払い。
 シャッハはそれを片足を引くことで避け、引いた足を踏み込んで、正面から左右のトンファーをあわせ、振り下ろす。

 速度威力の乗ったそれを『弾き』切れないと判断した良彦は、

 「『貫き』」

 風を纏い一瞬で離脱…訓練場の土が舞い上がり、自然と視界をさえぎる…が、『凪』に反応、下方からの打ち上げ…それに気付いた良彦が、一瞬の停滞を利用し身を右に捻り『捌く』。
 土煙が一閃で切り裂かれ、先ほどの振り下ろしから振り上げた姿勢のシャッハ…構えを戻す前に、良彦が右への捻りをりようし、踏み込みつつ右手で裏拳。
 が、それを引き上げた左膝に小さなシールドを張って防ぐシャッハ…衝撃で距離をとる。

 「なるほど、先ほどから貴方の近くで一瞬ながら動きが落ちる、これが【風王】の希少技能ですか」

 「しってるなら、話は早いかな…まぁ、そういう事で、しかし騎士シャッハ…速いね」

 「それが持ち味ですから、騎士良彦もしっかりと修練を積まれているようで」

 「清風の騎士…初代の記憶のおかげもあるかな、目指すべき、越えるべき場所があるから」

 お互いに、最初の構えに戻り…軽く言葉を交わす。

 「ならば高みへと登る為に…」

 「あぁ、もっと高い場所へ…行く為に」

 「「行くぞ!(いきましょう!)」」

 恐らくお互いの最高速度…良彦は貫き、しかもカートリッジを一個使っての最高速…シャッハもカートリッジをロードし、良彦の眼前から消える。
 『凪』に反応…右前方、右手に風を纏わせ、シールドを小さく張る…が、その速度威力はそれを上回る。

 「烈風一迅!」

 シャッハの掛け声と共に振るわれた一撃がシールドを砕き、『弾く』為に打ち出した拳を弾き飛ばし…停滞も物ともせずに良彦の右脇腹を直撃、衝撃で良彦の体は吹き飛び、地面を数度転がる。
 回転が止まった後、ゆっくりと…ゆっくりと立ち上がる良彦、足元はふらつき、構える手には力が無い、が…目はまだ死んでいない。
 相対する良彦とシャッハ…だが、かくんと良彦が膝から倒れる。

 「騎士良彦!?」

 駆け寄るシャッハ…良彦は既に気絶しており、先ほど立ち上がったのは恐らく意地なのだろう事をシャッハは気付く。



 数時間後…

 「知らない、天井だ…」

 と呟く良彦の視界に、紫の髪をショートにした少女…シャッハが顔を覗かせ

 「大丈夫ですか、騎士良彦」

 「あぁ、騎士シャッハ…いや、もうシスターに戻ってる?」

 「意識はしっかりしてますね…痛みはありますか?」

 「ん…脇腹が一寸痛いかな、それくらい」

 「そうですか…良かったです」

 周りを良く見れば貸し与えられた部屋のようで、自
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