三日目 昼
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「多いですよ、カゲヌマさん。そ、それとちょっと近いです」
ユーハは小声で叫ぶように言うと肩越しに俺を見上げる。顔が若干赤くなっている。
熱でもあるのか?
「えっ!?全然無いですよ、気にしないで、むぐっ」
小声で話せ、何度も言わせるな。
「す、すいません.....」
そんなやり取りをしているとゴブリンはドンドン獣道を進んでいく。
ゴブリンの習性で考えれば、恐らく巣に戻るのだろう。ボロボロとはいえ、動物型魔物の死体を荷車に乗せて引いている所を見ると狩りを終えた帰りと言った所か。少しだが、錆びた剣や古びた弓を背負っているゴブリンが少なからず確認できる。
武装している、厄介だな。
「ど、どうしますか?」
ひとまず様子見だ。その間に何か作戦を考える。それまではこの距離を保った尾行を続けていく。
「分かりました。そ、それじゃ進みましょうッ」
茂みに身を隠し、移動しながら俺は作戦を考えた。
サイレントキル。つまり、暗殺だ。具体的な方法は後衛のゴブリンから順にサイレス、沈黙の魔法をユーハが掛け、それを前方のゴブリンに気づかれないよう片付ける。これなら途中でバレたとしても、最低後衛の武装したゴブリンは倒せる。
「カゲヌマさん、このままじゃあのゴブリン達、巣に戻ちゃっいますよ。はや、ひゃっ!冷たいっ」
ユーハの声に顔をしかめつつも空を仰ぐと水滴がピチャッと頬を打った。
降ってきたみたいだな......好都合だ、このまま作戦を始めようか。
ポタポタ.....ザーザー!
雨が本降りになるまでそう時間は掛からなかった。ユーハはローブに付いている頭巾を深く被り、身を縮める。俺はコートなので、被る物が無く、仕方なく雨に打たれたままじっと耐えた。髪が雨を吸い垂れてきた頃、ユーハに合図する。
俺は茂みから獣道に出た。ゴブリン達との距離はそう遠くないので、振り向けば気付かれるので、その前に終わらせなくてはならない。
身を屈め、ゆっくりとゴブリン達にできるだけ近づいていく。足音は雨の音に紛れ、聞こえない。ゴブリンは聴覚が優れていないので、思ったより楽に後方に付く事ができた。
背後のユーハに合図をすると小さな声で呪文を唱えた。
「サイレス」
唱えた終わると後衛の二体のゴブリンが驚いたように目を見開き、喉を押さえている。
(呪文は効いたようだな。始末するか)
俺は前のゴブリン達に気付かれないように両腕を交差させ、
ズシャズシャッ!
二体のゴブリンの首と胴体を同時に真っ二つに切り裂いた。ゴブリン程度なら光の流法を使わずに通常の刃でも切断する事など造作もなかった。
ゴブリン達の死に顔は声が出ていたならば、文字通り断末魔も上げ、死んでいっただろう事を予
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