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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
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くる。

「にゃああ!?」

 先ほどと同じように蛇矛を盾に、相手の武器を防ごうとするけれど……

「甘い」

 その矛先が、まるで生きているように蛇矛を避け、鈴々の胸元へ――

「うわわわわわ」

 慌てて蛇矛で円を描くように回転させて、すり抜けようとした矛先を弾く。
 そのまま、後ろに飛び退って距離をとった。

「……? お前、やっぱり強い。今ので殺したと思った」
「あ、危なかったのだ……」

 まるで蛇のように矛先が曲がったのだ。
 お姉ちゃんの手にもつ武器は、多分相当重いはず。

 にも拘らず、まるで柳のように(しな)らせて、鈴々の蛇矛を避けたのだ。

「お、お兄ちゃんが一人で戦うなって言ったのがわかったのだ……」

 強い。
 力や早さだけでなく、その業も。

「お前強い。けど、本気で来ないとすぐ死ぬ。恋は手を抜かない」
「……っ、こ、殺されるよりは破門される方がまだマシなのだ! 鈴々だって負けないのだ!」

 後で土下座でもご飯抜きでもなんでもして許してもらうのだ!

「やっとやる気になった……?」
「当たり前なのだ! 殺されるのはゴメンなのだ!」
「ん。じゃ……」

 りょふのお姉ちゃんは、初めて構えをとったのだ。

「恋もちょっとだけ、本気だす」

 その姿に、一瞬蛇に睨まれたような錯覚が鈴々を襲ったのだ。
 でも、でも……鈴々は、負けるわけには。

 死ぬわけには、いかないのだ!

「にゃあああああああああ!」




  ―― 張遼 side ――




「弱いわ、ボケェ!」

 ウチの愛槍、飛竜偃月刀が袁術軍の兵を薙ぐ。
 金ピカに彩られた袁術軍の鎧は紙のように裂け、瞬く間に地面へと転がり、動かぬ屍となった。

「はん! 袁術軍はホンマに弱いわ。数で言えばほとんど同数なのに、全く被害なんぞ受け取らん……盾二の爪の垢でも飲んどき!」
「張遼将軍! 敵大将、袁術とその配下の張勲は逃亡した様子」
「袁術に張勲か……袁術は見たことないけど、逃げるのだけは早いようやの。まあ、逃亡兵が隣の孫策軍まで混乱させたようやし、戦果としては大勝利やな」
「その逃亡兵ですが、敵中曲の方にまで逃走しています。おそらくは袁術たちも……」

 部下の言葉に目を凝らして逃亡兵が逃げていく先を見る。
 確かに曹操軍の陣形を阻害するように、逃亡兵が雪崩れ込んでいる。

「ふむ……なら好機やろか。このまま逃亡兵を追い立てて、さらに曹操軍を混乱させれば……」
「その背後にいる袁紹にまで届くやもしれませんな」

 曹操か……かなり出来る奴とは聞いとる。
 なにしろ盾二があれだけ危険視しとった奴や。

 けど……いまならまだ。

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