反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がきちゃうかなー? 皆、最後に一当して下がるのだ!」
「……遅い」
「にゃ!?」
咄嗟に右側から生まれた殺気に、慌てて蛇矛を盾にする。
その刹那、まるで岩に殴られたような衝撃が鈴々を襲ったのだ。
「ぐっ……!」
気が付くと鈴々は宙に浮いていたのだ。
逆さまになった身体をひねって、体勢を直し、なんとか着地する。
でも、その勢いは止まらず、二丈(約六m)ほど吹き飛ばされながら足を踏んばって堪えたのだ。
「っ……ちゃあ〜……い、今のは痛かったのだ」
衝撃を受けた手がじんじんと痺れる。
引き摺られたような地面の溝が、衝撃の重さを物語っているのだ。
「……受けた?」
鈴々が顔を開けると、そこにいたのは真紅の髪に褐色の肌をしたお姉ちゃん。
どこかきょとんとした表情で、その手に持つ武器を持ち替えた。
「今の……お姉ちゃんがやったのか?」
「……そう」
あちゃー……もしかして、このお姉ちゃんが……
「もしかして、『りょふ』ってお姉ちゃんのことか?」
「……そう。恋のこと」
「にゃあ……まずったのだ」
ううう……お兄ちゃんからあれだけ一人で戦うなと言われていたのに。
は、破門は嫌なのだ……
「でもお前、ちんきゅーみたいに小さいのに、恋の攻撃受け止めた……強い」
「にゃあ……鈴々は強いけど、お姉ちゃんとは戦いたくないのだ」
「…………? 何故?」
きょとんとした顔で再度問いかけてくるお姉ちゃん。
さっきの殺気が嘘みたいなほど、その姿は自然体だったのだ。
「お兄ちゃんから『りょふのおねーちゃんとは一人で戦うな』って言われているのだ。でも、鈴々、その言いつけを破ったのだ……は、破門は嫌なのだ」
「……? お前が何言っているか、よくわからない……」
「鈴々たちは、とーたくのお姉ちゃんを助けるために洛陽に向かっているのだ。できればお姉ちゃんには退いて欲しいのだ」
「……? お前たち、敵、のはず」
「そうだけど、そうじゃないのだ。とーたくのお姉ちゃんには鈴々達も恩があるのだ」
ううう……鈴々は難しいことを言うのは苦手なのだ。
これが朱里やお兄ちゃんなら、ちゃんと説明もできるかもしれないけど……
「……恩人なら、なんで殺そうとする?」
「こ、殺そうだなんて思っていないのだ!」
「でも、賈駆言った。連合は董卓を殺そうとしている。恋はとーたくに助けられた。だからその敵と戦う」
「そうだけど……そうだけど! 鈴々たちだって助けるために動いているのだ!」
「でもおまえら、敵」
うー!
そうだけど、そうじゃないのだ!
「敵は……倒す」
その言葉と共に、りょふのお姉ちゃんが鈴々の前に飛び込んで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ