反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
[5/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
我軍は一兵一兵が将来の武官候補。その真価は戦場でお見せ致しましょう」
「……そう。楽しみね。それで、指揮権はどうする気?」
指揮権――その言葉に、私は顔を上げる。
「無論、『共同』であたるのです。『指揮下』に入るわけではありませぬ故、行動指針のみ打ち合わせして敵に当たるために参上した次第」
「ふうん……つまり、共闘はするけど、こちらの指示には従わないってわけ?」
「あくまで同じ敵に共同して当たるだけ故。別に曹操殿の臣下になったわけではありませぬ」
「きっさまぁ! 華琳様になんという口を!」
夏侯惇は激昂したように立ち上がる。
しかし、曹操がそちらをひと睨みすると、金縛りのように動きを止める。
「ふふ……その高潔さ。私は好きよ。まあ、いいでしょう。こちらの数は八千程度。そちらと合わせても一万四千。それぐらいでなければ、今袁術軍をかき回している数万の張遼軍には当たれないわ」
「……こちらに霞が」
となると――孫策軍には呂布が向かったことになる。
……鈴々とご主人様が、まさか遅れを取るとは思えないが――
「今混乱している袁術軍への救援は、袁術軍の敗走兵や脱走兵の混乱に巻き込まれる危険があって迂闊に前に出られないの。だからこちらは防衛陣形で待ち構えているんだけど……関羽、貴女はどうするのかしら?」
「……本来であれば、すぐにも袁術軍を救援したいところではありますが。そういうことでしたら突破してくる霞の――張遼軍の先端を槍隊で牽制して、動きを止めたところで弓隊による包囲斉射ではどうでしょうか?」
「ふむ……それもいいわね。でも、相手は神速張遼……受け止められるかしら?」
「……以前、ご主人様より教わった方法があります。敵はおそらく勢いの魚鱗か、移動力を活かした雁行なれば――」
私の作戦に、曹操は目を剥いて私を見た。
「……それを、あの御遣いが?」
「あくまで『とある戦法の一つだ』とおっしゃっていました。隊列運動を試したこともありますが、やる側はそんなに難しくはありません。いかがでしょう?」
「………………」
曹操は考えこむように手を口に当てている。
……?
いや、親指の爪を噛んでいる?
「……そう。わかったわ。その方法で行きましょう。こちらは春蘭――夏侯惇が先端の指揮をするわ」
「では、我が軍がもう片方を。敵の動きが止まれば――」
「ええ。秋蘭、夏侯淵が包囲斉射。あとは臨機応変。どうかしら?」
「承った}
私は再度拝礼して、馬へと跨った。
「関羽」
曹操が私の名を呼ぶ。
「この策――名前はなんというのかしら?」
「さて……確かちがいや、とかなんとか。申し訳ありません。あとでご主人様に聞いておきましょう――もう、あまり時間があ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ