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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
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「……ともかく急ぐか。鈴々一人で相手にさせられないし」

 その鈴々は、すでに前線で雪蓮の代わりに第二軍でぶつかっている。
 急いで援護と救援に向かわなければ――




  ―― 関羽 side ――




「我は関雲長! 劉玄徳の家臣なり! 曹操殿は何処か!?」

 私は馬上から、臨戦態勢に入っている曹操軍に近づき、声を張り上げる。
 前線から少し離れて迎撃体制を取る曹操軍は、戦前(いくさまえ)特有の戦慄にも似た殺気が満ちていた。

「何の騒ぎか……貴様、関羽か!」
「そういう貴女は、たしか夏侯惇……?」

 我が声に反応したのは、かつて義勇軍時代に曹操の傍にいた片割れの一人、夏侯惇だった。
 背に抱える大剣に手を掛け、こちらを油断なく探っている。

「劉備軍の貴様が何故こちらにいる!? 一体何のようだ!」
「……我が主、劉玄徳様とご主人様である北郷盾二様の(めい)により、曹操殿と共同で袁術軍の救援に向かうよう仰せつかった」
「なんだと……?」

 夏侯惇が訝しげな顔でこちらを見てくる。
 当然だとは思う。

 こちらの戦力とて向こうに比べれば四半程度。
 にも拘らず、部隊を割いてまで曹操軍の援護に来たと言っているのだ。

「……貴様、何を考えている?」
「好きで来たのではない。ご主人様……北郷盾二様の指示だ。でなければ今すぐにでもご主人様のもとに戻りたいのだがな」
「なにぃ!? わざわざ戦前(いくさまえ)に来て、喧嘩を売るつもりか!?」

 私が鼻を鳴らすように吐き捨てると、その姿に激昂した夏侯惇が大剣を抜こうとする。
 だが――

「やめなさい、春蘭!」

 その一喝が、夏侯惇の動きを止めた。
 振り返ると同時にその場に跪く。
 そしてその周囲の兵士たちも――

「我が臣が失礼なことをしたわね。私が詫びるわ」

 その姿、すでに王としての威厳を持つ者。
 そう思わせる相手――曹操が、そこにいた。

 私は馬から降りて、その場にて拝礼する。

「いえ。こちらこそ礼を失しておりました。お許し下さい」
「かまわないわ。時間もないし、用件を伺いましょう。御遣いの指示でこちらに来たとのことらしいけど?」
「は。ごしゅ――北郷盾二様は、曹操軍と共同にて右翼側の敵に当たれと仰せになりました」
「ふうん……まあ、こちらは助かるけどね。そちらの兵数は?」
「は。我が梁州第一軍、兵数は六千。いずれもが一騎当千の精鋭です」
「…………」

 曹操は、私の背後にて直立不動にて整列している第一軍の兵を見て、眼尻を少し上げて見やる。

「……噂に聞いていたけど、かなり調練してあるわね。佇まいからして精鋭だと判るわ」
「ありがとうございます。
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