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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
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 勢力も小さい今ならまだ、曹操を討ち取れる好機やもしれへん。

 桃香のように、梁州のように、その勢力が肥大化する前に……

「……曹操軍の数は」
「見立てでは一万もないかと」
「……賭けるか」

 ここで曹操を討ち取る、もしくは敗走させれば袁紹までウチの刃が届くかもしれへん。
 そうすれば、月の安全はさらに高まる。

「……どうせ死に花咲かせるつもりやった。恋には悪いけどな……なら、乾坤一擲、行ってみるのもええやろ!」
「では……」
「ああ! おどれらあ! このまま曹操軍にカチコミかけるで! まさかケツ捲るような軟弱な兵は、ウチの配下におらにゃろな!」
「「「 オオオオオオオッ! 」」」

 兵の気合は十分。
 けど、戦の形勢はいつどうなるかわからへん。

 なら……機を見て動かず、いつ動く!?

「行くでお前ら! 袁術軍のケツをしばいて、曹操のドタマとったれぇえ!」
「「「 オオオオオオオッ! 」」」


 ウチの発破に答える兵たち。
 神速張遼の騎馬兵、その身で受けてみぃ!

「このまま突撃やーっ!」
「「「 オオオオオオオオオッ! 」」」


 先頭を馬で駆けながら、逃げ惑う袁術軍の兵を曹操軍へと誘導する。

 案の定、袁術軍の逃亡兵は曹操軍の先陣を混乱させた。
 そして――

「しめた!」

 混乱した故か。
 敵軍の前面には、曹操本人の姿が見えた。

 どうやら指揮するために前面に出ていたらしい。

「今が好機! 全員、曹操に向けて突撃や! ここが乾坤一擲の大博打やで!」
「「「 オオオオオオオッ! 」」」

 ウチの騎馬兵が、高い士気を保ったまま、曹操の元へと突撃していく。

 殺った――そう確信した時。

 ウチの眼にありえへんものが見えた。

「………………!?」

 ウチの背筋が凍る。
 この寒気は――まるで。

 まるであの時、水関の時のような――

「あ、アカン!」

 ウチが口走るも、その指示は届かへん。
 すでに突撃した兵は、曹操の手前まで迫っとる。

 けど、なんでや。
 なんで……

 曹操は………………笑っておるんや!?

 その答えを示すかのように。
 曹操は笑みを浮かべたまま、その手を上げたのだった。

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