反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
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その小柄な身体とは裏腹に、長大な蛇矛を持って矢を全て叩き伏せた。
「ここは鈴々が代わるのだ! 孫策のおねーちゃんはバラバラになった自分の軍をまとめるといいのだ!」
「……ありがと。そうさせてもらうわね」
その言葉を聞くやいなや、張飛ちゃんは長大な蛇矛を天に掲げた。
「梁州牧、劉備が壱の家臣、張翼徳! 我が武威に恐れを抱かぬ者から掛かってくるのだ!」
その宣言とともに、敵の只中へと突撃していく。
その後を直属の兵が続いた。
「伯符様! 今のうちに!」
「……ええ」
劉備ちゃんの義姉妹と言われる張飛ちゃん。
燕人と呼ばれるほどの剛勇の持ち主で、関羽共々名が高い。
その名に違わぬ動きと力強さで、一時は勢いづいた董卓軍を受け止め、更に押し返している。
間違いなく大陸有数の武の将。
でも劉備の軍は彼女だけではない。
総合力なら張飛ちゃんを超えるであろう、美髪公関羽。
知謀は自分と同じかそれ以上と冥琳に言わしめた諸葛孔明。
孔明に隠れているが、実は裏の軍の参謀だという鳳統。
そして公孫賛の元で勇名を馳せた趙雲というのも加わっている。
そして、それらをまとめ、劉備と共に名を馳せる天の御遣い、北郷盾二。
これだけの逸材が揃う梁州は、冥琳でなくとも警戒するのは判る。
(もしかしたら……盾二は、劉備は天下を取るために動くかもしれない)
わたしにとっては天下なんかどうでもいい。
ただ、家族が穏やかに暮らすための世の中にしたいだけ。
そして母様の夢だった孫呉の復活を―――
(だから曹操のような全てを飲み込もうとする覇王は認めない。けど、劉備や盾二なら――)
あの子達となら、きっと一緒に笑って暮らせる国が作れる。
だからこそ……わたしは盾二が好きなのだ。
(だからこそ……こんな戦いで死ぬ訳にはいかないわ)
それこそが、わたしが呂布と戦うのを留まらせる本当の理由。
そのためならば、この身を焦がすような胸の内に眠る狂気すら抑えこんでみせるわ。
「雪蓮! 無事か!?」
ほら。
そこに、愛する人がいるのだから――
―― 盾二 side ――
「雪蓮、無事か!?」
「盾二! 助けに来てくれたの?」
俺と馬正が第三軍を率いて孫策軍と合流すると、周喩は孫策が前線で孤立していると教えてくれた。
そのため、先行している鈴々に援軍として向かわせて敵の先端を受け止めさせて、後詰として雪蓮を救出することにした。
「間に合ってよかった。周喩さんがこちらの第三軍と共に軍の統制を回復させている。雪蓮もすぐに下がるんだ」
「ええ〜盾二といっしょに戦
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