反董卓の章
第17話 「敵は……倒す」
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―― 孫策 side 虎牢関 ――
「あ、あらぁ〜……や、やっぱり数の暴力には勝てないかしら?」
思わず口に出る。
黄蓋――祭率いる弓隊が交差陣形で敵を削り、甘寧――思春率いる槍隊で敵を受けとめ、それを私と周泰――明命が横槍で大混乱に陥れる。
この作戦は当初は上手く行った。
敵の先鋒の部隊は大混乱し、進撃は止まる。
だけど――
「ほんっと、袁術ってば役に立たないどころか、迷惑しか起こさないんだから!」
袁術軍は張遼率いる騎馬隊で大混乱になり、そこから逃げてきた袁術軍の逃散兵がこちらの陣形をかき乱した。
そしてそこに追撃してきた騎馬隊の一軍が、こちらの弓隊をかき乱し――
「やばいわね。敵より味方にやられるなんて――」
こんな状況では、まともな指揮など出来ない。
統制を取り戻すために、一時引くしかないのだが――
「よりにもよって、一番嫌なのと目があっちゃったのよね……」
こちらに向かってくる一団。
そしてその軍団が掲げる牙紋旗は『呂』。
真紅の呂旗――飛将軍、呂布。
「ままならないものね……戦うなって言われても、向こうから来たんじゃ戦わざるをえないわけだし」
そう思って苦笑するが、むしろ胸の中から沸き上がるのは――狂気。
「……呂布とは戦いたかったのよね。それも一対一で。これは……好機かしら」
思わず愛刀の南海覇王を握る手に、汗がにじむ。
大陸最強と名高い呂布を相手に勝つことが出来るなら……私が最強ってことかしら?
ふふ……それもいいわね。
なら――
「伯符様! 一旦後退して陣形を立て直せとの周喩様からのご伝言です!」
あ……ちっ。
「え、舌打ち!?」
「あ、ううん。なんでもないわよ、幼平。あーあ……やっぱりやらせてくれないかあ。まあ、あれだけ散々言われたし……さすがに突撃するのはマズイわね。わかった、後退するわよ」
「あ、はい! よかったです……(ぼそ)縛り上げずにすみました」
「……あとで釈明聞くから」
「はうっ!?」
はあ……しょーがないかあ。
どちらにしてもこのままじゃ壊滅するのがオチだし。
後続の劉備ちゃんたちと連携して――
「伯符様!」
!?
油断した。
こちらに向かってくる、無数の矢の雨。
さすがに全部は捌ききれな――
「にゃああああ!」
と思った瞬間。
横から飛び出してきた小さい影と、その長大な矛が、降り注ぐ矢をまとめてはじき返した。
「油断大敵なのだ! 孫策のおねーちゃん!」
「ちょ、張飛ちゃん……」
間一髪でわたしを救ってくれたのは、劉備軍の張飛ちゃん。
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