【IS】昼行灯(ひるあんどん)が照らす道
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リードの力と我が信念があれば、何も恐れるものは……ない!!」
エウリードの手に巨大なビーム砲が握られた。肩の突起が激しくスパークし、砲身に莫大なエネルギーが溜めこまれていく。セシリアはBTに一斉射撃を命じたが、僅かに遅かった。
「どんな理不尽にも屈することなく! 正義を貫けるのだ!!」
= = =
「はぁ・・・」
憂鬱の溜息を吐くのはセシリア・オルコット。つい先日IS同士の模擬戦で敗れ、手持ち不沙汰に保健室で退屈を余儀なくされている少女だ。
エウリードが最後に使用した超大型ビーム砲の光に呑まれたセシリアはそこで意識を失い、気が付いたら今日の朝だった。何でもリミッターが上手くかかっていなかったらしく、本来なら試合で発射してはいけないレベルの威力が出ていたらしい。おかげで丸一日気絶したままだったようだ。
知らなかったとはいえそんな攻撃を敢行したカークスは責任を取ってクラス代表を辞任、セシリアが復帰するまでの間だけ一夏が仮の代表になったそうだ。
そして当のカークスが先ほど謝罪も兼ねて会いに来たのだが・・・
「その・・・すまなかった!知らなかったとはいえあんなことに・・・本当に申し訳ない!・・・・・・あ、これ本音から預かった大福だよ。見舞いの品ということで。私も一つ頂いたが和菓子って美味しいね」
「え、あ、ハイ」
・・・試合中の気迫は何所へやら、すっかり元の昼行灯モードに戻ってしまっていた。肩すかしを食らう形になったセシリアは結局言いたいことも言えずに自己嫌悪で溜息を吐いているのである。
試合中のあの目に心が揺さぶられた。言葉の一つ一つに籠る意志の強さに惹かれた。彼女が今まで出会わなかった、しかし間違いなく―――強い男。
「はぁ、憂鬱ですわ・・・あれで普段も同じくらい・・・いえ、せめてあの3分の1でも真面目な顔をしてくれたら素直に「惚れた」と言えますのに・・・」
どうやら彼が貫いたのは信念だけではなかったようだ。男を知らぬ乙女のハートまで貫くとは、案外隅に置けない男である。
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