第三章
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あ。ちょっとサッカーしてくるよ」
「じゃあな」
それで俺達は別れた。子供の俺はそのまま去っていく。今の俺はそれを見送っている。距離が少しずつ離れていく。同じ人間なのにその間にある距離は果てしなく広いのがわかった。
「行っちまったか」
遂に子供の俺は今の俺の目の前から姿を消した。後には俺一人が残った。
酔いは醒めちまっていた。周りは普通の公園になっていた。本当にあの公園だった。特に何の変わりもない、あの公園だった。俺はそこのベンチに座っていた。
「ずっとここにいたみたいだな」
周りを見回して呟く。時計を見れば殆ど時間が変わっていない。
「頑張れ、か」
子供の俺の言葉を思い出していた。目の前にはあのダイスが転がっている。渡した筈のダイスがそこに転がっていた。
「じゃあそうさせてもらうかな」
俺はそのダイスを拾って呟いた。何となくそうしたくなった。
「真面目にな」
そして立ち上がった。ダイスはポケットの中に入れた。
そのままアパートに帰る。帰って身体を休めて仕事だ。
「とりあえず何でも真面目にやらないとな」
それが子供の俺との約束なのだから。そうすることにした。呆れる程仕事が多くても。今は真面目にやろう、そう決心した休日の朝のことだった。
ローリング=マイストーン 完
2006・6・19
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