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錬金の勇者
3『始まりの日』
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息を漏らしてしまった。

「これが現実と仮想世界の違いか……ずいぶんやりやすいな」

 現実世界のヘルメスは、ここまで身体能力が高くない。また、現実世界のヘルメスが錬成する短剣も、これほど性能のいいものではない。やはり、仮想世界に入ったことで様々な恩恵を受けているようだった。

「《錬金術》スキル……悪くない出来だ」

 ヘルメスのスキル欄にある唯一のスキル、《錬金術》は、ヘルメスが現実世界で使用している錬金術を使用可能にするスキルだった。茅場によると、システムに特殊な《穴》をあけることで再現を可能にしたらしい。どうやってそれを行ったのかは教えてくれなかったが……。

 スキル内部で《刀剣錬成》や《食材錬成》などの派生術をセットすることで、成功率や完成度を補強してくれる。恐らく短剣が高性能になったのは、スキル内の《刀剣錬成》のおかげだろう。

「ふむ……次はレべリングと行くかな」

 レベル性MMOゲームに置いて、先に進むためにはレベルを上げなくてはならない。ヘルメスは比較的レベル性MMOよりもスキル性MMOに近いイレギュラーなプレイヤーではあるが、きちんとレベル表記はあるため、レベルを上げていく必要がある。

 レベル性MMOの常として、プレイヤーはレベルが上がれば上がるほど、もらえる経験値が少なくなってくる。モンスターのレベルには、そのレベルのプレイヤーにあった《適正レベル》と言うものがあるのだ。

 SAOでは、それが非常に分かりやすく設定されている。モンスターのカラーカーソルの色が純粋な赤なのが『適正レベルのモンスター』。白に近い方向、つまりピンク色のカテゴリに含まれるのが『適正レベル未満』、つまり『雑魚敵』であり、経験値も適正レベルより少ない。ほぼ白に近い色のカーソルのモンスターを倒しても、全くと言っていいほど経験値は入らないのだ。

 それに対して、黒に近い方向、クリムゾンやダーククリムゾンと言った明度の低いカラーカーソルのモンスターは、黒に近ければ近いほど倒しにくい、経験値の多く入る『適正レベルより強いモンスター』という事になる。ほぼ黒と言っていい色のカーソルを持ったモンスターは、どうあがいても、奇跡すら起こっても勝てない強者、ということになる。

 《はじまりの町》周辺のモンスターは、ほとんどが『適正レベル』、もしくは『適正レベル未満』のモンスターである。ヘルメスがイノシシやオオカミを狩っていくうちに、それらのカラーカーソルはだんだんと白に近づいて行った。

「そろそろ狩場を変えるべきか……」

 茅場晶彦は、ヘルメスに《はじまりの町》をはじめとする第一層の大まかな情報を教えていた。それによれば、たしか《はじまりの町》より少し遠くに、《ホルンカ》と言う小さな村があったはずだ。その周辺にはここ
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