言葉以外の伝え方
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ろう。
突然のお礼にイオリは一瞬「何の事だっけ・・・」と悩み、思い出し、笑った。
「気にしなくていいよ、ナツ君。仲間ってのは助けて助けられてこそだし」
「へへっ。じゃあイオリが困ってたら今度は俺が助ける番だな!何か困ってる事ねーか?」
「うーん、そうだな・・・」
突然の申し出に苦笑いを浮かべながら「困ってる事」を考えるイオリ。
そして、ふとハッピーに群がるリサーナ達とは別で、1人でテーブルに座っているティアを見て、その顔から笑みが消えた。
目を伏せ、やがて決断したような表情になり、ナツと目線を合わせるようにしゃがむ。
「ナツ君」
「ん?」
「・・・言いづらい事だから、別の所でお願いしてもいいかな」
いつもと違う、真剣みを帯びたイオリの声に疑問を覚えながらも、ナツはイオリについていった。
ギルドから少し距離がある、マグノリアを一望出来る丘。
実はこの場所、今ナツがハッピーに6年前の事を話している場所だ。
「イオリ、どうしたんだ?」
黙ってマグノリアの街を見つめるイオリに声を掛けると、ゆっくりと振り返り、近くの岩―――6年後の現在、ナツが座っている―――に腰掛ける。
ナツはその横に立ち、イオリはそれを確認し口を開いた。
「ティアちゃんの傍にいてあげて」
「・・・え?」
イオリの頼みにナツは目を丸くする。
「あの子・・・いつも1人でしょ?誰かが近くにいても、境界線以上には入らせない、って言うのかな。あたしも、ティアちゃんに憎まれ口叩かれるようになるまでには凄い時間かかったんだよ?」
他人になら、あの子は何も言わないから。
少しはあたしの事、他人以上で見てくれてるかもね。
イオリは目を伏せ、呟いた。
「ティアちゃんはね。『賢すぎる』の。もちろん、頭がいい事は悪い事じゃないんだけど、あの年齢で、あそこまで全てを見通せる目を持った子を見たのは初めてだった」
眩い光も、漆黒の闇も、両方を併せ持つ混沌も。
人間の外見も、中身も、心の奥の奥、考えている事までも。
彼女の青い目には映っている気がする―――イオリはそう思っていた。
「あの子は闇を知りすぎてる。ううん・・・光を、『誰かを信じる』という事を知らなすぎてるの。まるで・・・こんな事は言いたくないけど・・・」
イオリは言いにくそうに視線を逸らし・・・少しして、口を開いた。
「誰からも・・・愛されず、必要とされず、忌み嫌われてきたみたいに」
ナツは言葉を失った。
否、言葉が出てこなかった。
そもそも、発するべき言葉が、ナツの中になかった。
「ティアちゃん、クロス君とクロノ君以外の家族の話をしないの。聞いても『私に
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