Development
第十七話 真実の一端
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「あれ? そういえば今、僕は世間的にどうなってるの?」
「行方不明、となっておりましたが昨日のうちに千冬様へ連絡しております。ちなみに紫苑様の親族が全ていなくなったことで、束さんが後見人となる旨も伝えています。西園寺グループは会長の安否がわからなくなり、崩壊の危機でしたがIS関連を束さんが乗っ取り、残りは他企業に吸収されました」
「そ、そうなんだ……」
「つまり、しーちゃんは束さんと親子みたいなものだね。どうせなら養子になる? ママって呼んでいいよ?」
「さすがにそれは遠慮します……でも、ありがとう」
親子……か。ふふ、それもいいかもしれない。母親の記憶なんてないけど、間違いなく束さんみたいな母親は普通じゃないだろうな。
「む〜、残念」
そう言いながら本気で残念そうな顔をする束さんに僕は思わず苦笑する。
「千冬さんや学園のみんなにも心配掛けちゃったかな、早く連絡しないと」
「ん、それならあっちの部屋の通信使ってね、逆探知できないから」
「わかった、ありがとう」
束さんと話をすることで、大分落ち着いてきた。いつも、彼女には元気を貰っているな。
『半年も無断欠席しおって、この馬鹿者が!』
通信が繋がるなり、開口一番怒鳴り声が響いてきた。
「ご、ごめんなさい!」
それでも本気で心配してくれていたことが声から伝わってくる。その勢いに思わず謝ってしまったけど、そのことが嬉しくて胸が熱くなる。
『それで、いつ戻ってくるんだ?』
「えっと、しばらくこのまま束さんのところで経過を見て、問題ないようなら二月には戻るつもり」
昨日今日では大丈夫そうだったけど、月読を稼働後の経過も見ないといけないのでしばらく様子見が必要だ。月読のメンテナンスは終わってるんだろうけど、せっかくだから束さんと調整してみたいし。あれ? そういえば気を失う直前に何か声が聞こえた気がするけど……。気のせいかな、あとで束さんと話してみよう。
『そうか、更識達も心配していたからな、あとで連絡しておけよ。寮の部屋は残っているから安心しろ。あぁ、とはいえ更識はすぐに引っ越しになるだろうがな』
「え?」
『もうじき新学期だろう? 更識は二年生用の寮へ移動だ』
「そっかぁ、もうそんな時期……ってあれ、僕は?」
『……半年も休んでいた者が進級できると思っているのか?』
……え? ってことはもしかして……。
『お前はもう一度、一年をやり直しだ』
「えぇ!?」
僕は学園生活に再び戻れるようだ……ただし、もう一度一年生として。
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