第二章 風のアルビオン
幕間 炎の中の子供
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キュルケたちが勢い良くロングビルに向き直ると(タバサは、ぼ〜と突っ立ってい……疲れているのか寝ている)、ロングビルに詰め寄る。
「えっ! ええ……あるにはありますけど……」
キュルケたちに詰め寄られたロングビルは、器用に立って寝ているタバサをチラリと見る。
「それにはミス・タバサの力が必要です」
「タバサの?」
「それはどういうことだい?」
「……くうくぅ……」
「タバサ起きなさい」
「っ? ……眠い……」
「タバサ、もう少し頑張って」
キュルケがいつの間にか寝ていたタバサを起こすと、改めてロングビルに尋ねる。
「それで、どういう方法か教えていただけますか?」
「確かミス・タバサの使い魔は風竜でしたね? 彼女の使い魔に乗って行けばいいんです」
「? でもそれは、空賊とかいるから無理なんだろ」
ロングビルの言葉にギーシュが疑問の声を上げると、ロングビルは一度頷くと空に浮かぶアルビオンを見た。
「……ええ、確かにそうですが、それは“レコン・キスタ”たちに見つかったらの話ですよね? それなら見つからなければいいことですよね」
「どういうこと?」
キュルケが訝しげな顔をすると、ロングビルはキュルケたちが見たことのない意地の悪い顔でニヤリと笑う。
「ちょっときついけど、試してみるかい」
「っ! きゃ〜!! しっ死ぬっ! 死ぬ! しぃぬぅ〜!!」
「うるさいわねっ! 少し黙ってなさいギーシュ!」
「風強い……」
「くっくっくっ、この風、この光、懐かしいねぇ」
今ロングビルたちがいる場所は、アルビオンを取り囲むように浮かぶ雲の中であった。雲の中は雷と強風、氷混じりの嵐の様な状態である。
そんな中を、シルフィードに乗ったロングビルたちは飛んでいた。
シルフィードの上では、女性陣はキュルケとロングビルの間に挟まれるようにタバサが乗っており、ひとかたまりになっているが、ただ一人の男であるギーシュは、何故かシルフィードの尻尾に捕まっていた。
あまりな光景であったが、これには理由があった。
ロングビルたちは最初、全員でシルフィードの背中に固まって乗っていたが、調子に乗ったギーシュがロングビルの胸を触ったことにより、ロングビルとキュルケに蹴り飛ばされ、そのまま尻尾まで転がっていったのである。
「いっ、いくらなんでもっ! これは! あまりにもっ! あんまりじゃないのかい!!?」
「……自業自得」
「許可なく触ったあんたが悪いんだよっ! 殺されないだけ有り難く思いなっ!!」
「ったくっ! こんな時にまでそんなことするギーシュが悪いよっ!」
ギーシュが泣き喚く中、シルフィードは嵐が吹き荒れる雲の中を飛ぶ。
「でもっ! こ
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