第二章 風のアルビオン
幕間 炎の中の子供
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!? どこいくのよっ!?」
「待ってくれよっ!」
「……疲れた」
ロングビルがラ・ロシェールの町から大分離れた場所まで歩いていき、周りを見渡し、追っ手が居ないことを確認すると振り返ってキュルケたちに向き直った。
「ここまでくれば大丈夫ですね」
「はあっはあっ……ミス、どうしたんですか」
「……疲れ……た」
「ふうっ……で? 一体何が大丈夫なんですかミス・ロングビル?」
町の明かりが見えない暗闇の中で、キュルケたちが息を荒げながらロングビルにここまできた理由を尋ねると、ロングビルは全く息を荒げる様子を見せず、キュルケたちに呆れた顔を向ける。
「はぁ。わからないんですか? あのままあそこにいれば、あの壊された宿の修理代を払わされていましたよ。あの宿、ラ・ロシェールで一番高い宿ですよ、修理代は莫大なものになるでしょうね」
「あっ……」
「危機一髪?」
「あ〜……助かったわミス・ロングビル。このままシロウたちを追いましょう」
ロングビルの言葉に納得したキュルケ達は、そのまま士郎たちが向かった『桟橋』に向かって歩きだしたが、突然足を止めたキュルケがロングビルに振り返る。
「それで、どうしてミスも付いてくるんですか?」
「……魔法学院の関係者として、このままハイさようならとはできません」
「……目泳いでる」
キュルケ達に迫られたロングビルは、どうしようかと悩む。
さて、どうしようかね……このままついていくか、別れてついていくか……。
これから先のことについて、ロングビルが悩んでいると、横からギーシュが声を掛けてきた。
「あれ? ついてきてもらわないのかい?」
「ギーシュ何言っているのよ? ついてきてもらってはダメでしょう」
「何でダメなんだい?」
「ギーシュ、あなたねぇ……」
キュルケは察しの悪いギーシュに頭を抱えたが、ギーシュは憮然とした顔でキュルケを睨む。
「そうは言ってもだね、またいつこんなことがあるかわからないだろう? なら戦力が多いに越した方がいいだろう」
キュルケはギーシュが思っていたより考えていたことに驚きつつも溜め息をつく。
「確かにそうだけど、だからって一緒に行く分けにはいかないでしょ」
「密命」
「うっ、そうか……」
キュルケの言葉に、続けてタバサが短く言うと、ギーシュは残念そうに頷き。それを確認したキュルケは、改めてロングビルに向き直ると頭を下げる。
「ミス・ロングビル。助けてくれてありがとうございました。けれど、ここまででよろしいです」
「襲われた理由も言えないと?」
「はい、すみませんが」
「そう……」
まっ、当たり前だね。王女からの密命にのこのこ人を連れてはいけないしねえ……さて、そ
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