第二章 風のアルビオン
幕間 炎の中の子供
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は、ロングビルの思考を停止させるのに十分な代物であった。
キュルケ達が中庭から離れていくのに、ロングビルは気付かない。
ギーシュ達が去り、誰もいない中庭の片隅で、ロングビルは一人呆然と立ち竦んでいる。
頭に幾度もよぎるのは、ギーシュが言った言葉。
“アルビオン”
それは懐かしくも忌々しい、祖国の名であった。
士郎たちを追って、港町のラ・ロシェールに着いたロングビルは、士郎たちに気付かれないように監視していると、士郎たちが泊まっている“女神の杵”亭に向かう傭兵たちを見つけた。
その穏やかならぬ雰囲気に、ロングビルは一騒動あるなと考えていると、案の定騒ぎが始まった。
ロングビルが様子を窺っていると、“女神の杵”亭の中から士郎が勢い良く飛び出してくる。
士郎の突撃に傭兵たちは、混乱状態になったが、すぐに立ち直ると、数を武器にだんだんとルイズたちを追い込んでいった。
巻き返す様子が見えなかったことから、ロングビルはルイズたちを助けるためにゴーレムを作り出す。
勿論、ルイズたちに余計な疑いを抱かせないために作ったのは、巨大なゴーレムではなく、ニメイルほどの大きさのゴーレムであった。
その後、士郎が白い仮面の男を倒し、屋根の上に立つロングビルに説得をされ、“女神の杯”亭に帰っていくのを確認したロングビルは、去っていく士郎の背中を唇に触れながら見送ると、杖を軽く振り気合いを入れ直す。
「ふ〜、ったく。世話をやかせるんだから……さて、それじゃっ! やろうかねっ!」
士郎がルイズとワルドを連れて“女神の杯”亭の裏から出て行くのを確認したロングビルは、“女神の杯”亭に残ったキュルケ達と連携したお陰で、状況の不利を悟った傭兵たちが逃げていくのに時間は、そんなに掛からなかった。
豪華な建物であったはずの“女神の杯”亭は、その面影を見つけることが難しいほどに破壊されてしまっている。
煙を上げる“女神の杯”亭の、既に扉の姿を保っていない出入口からキュルケたちが出てくると、屋根の上から降りてきたロングビルに話しかけた。
「いや〜、ミス・ロングビルがこんなに強力なメイジだとは知らなかったよ」
「トライアングルクラス……」
「で、ミス・ロングビルは何でこんなとこにいるの? 説明してもらえる?」
「この近くに私の妹がいるんですが。今日はもう遅かったので、ここに泊まろうとおもったんです」
キュルケの問いに答えたロングビルは、キュルケたちが“女神の杯”亭から出てきたのを確認すると、踵を返し、そのまま士郎たちが逃げていった方向に向かって歩き始める。
それを見たキュルケ達は、慌ててロングビルを追いかけた。
「ちょっ、ちょっとミスっ
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