第六十四話 戦いを止める為にその十三
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「どうかな」
「そうですね、やはり結婚している方がいいですね」
「軍人は特にそうじゃないかな」
何故軍人は結婚した方がいいかも話される。
「結婚はね」
「社会的な評価の意味もですか」
「軍人の世界で独身は評価が低いと聞いているけれど」
「はい、確かに」
その通りだとだ、スペンサーも領事に答える。
「特に我々はです」
「将校はそうだね」
「戦争で死ぬことも考えられますが」
軍人の避けられぬ危険の一つだ、誰でも戦場に出れば死ぬ恐れがある。このことはアメリカ軍にしても変わりがない。
「それでもです」
「家庭を持たないと駄目だと考えられているね」
「そうです、ですが」
「まだ相手がいないんだね」
「そうです、どうしたものか」
「誰か紹介しようか?」
領事は穏やかな笑みになりスペンサーに言った。
「君に相応しい相手をね」
「誰か御存知なのですか」
「何人もね」
知っているというのだ。
「素敵なレディーをね」
「そうなのですか」
「どういった女性が好みかな」
領事はスペンサーに早速問うてきた、彼の女性の具体的な好みをだ。
「それで」
「そうですね、アフリカ系で」
まずは人種から答える、彼と同じアフリカ系だというのだ。
「背が高く清潔な人がいいですね」
「背が高くだね」
「はい、清潔な人が好みです」
そしてさらに言うのだった。
「優しくて料理が上手であれば」
「それでいいんだね」
「はい、そうです」
こう言ったのである。
「そうした人は」
「知っているよ、ではね」
「紹介して頂けるのですね」
「君さえよければね。ただね」
「ただ?」
「いや、それ位なのかなってね」
そのスペンサーの顔を見ながらの言葉だった。
「注文は少ないね」
「多いと思いますが」
「いや、ここで色々と言う人は多いんだよ」
そうだというのだ、結婚相手の条件について。
「人種や外見や性格だけじゃなくてね」
「色々とですか」
「言うんだよ、それこそ星座や血液型、後は干支までね」
干支は中国からだ、どうやら中国系の影響らしい。
「そうしたものまでね」
「全部入れてですか」
「服の趣味、煙草を吸うか音楽の趣味はどうか」
「そうしたことまで聞いてですか」
「言う人はいるよ、中々面倒な人がいるんだよ」
「そうした人もいるんですね」
「何かと難しいよ」
領事は苦笑いになってスペンサーにそうした人のことを話すのだった。
「それと比べたら君はね」
「ましですか」
「それだけなのはね」
「そうですか」
「結婚相手については」
ここで出て来たのはシェフ姿の王だった、急に彼の横に来てそのうえで言って来たのだ。
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