第六十四話 戦いを止める為にその十二
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「やはり」
「そうだね、そしてその人もね」
「運とチャンスがあればですね」
「資質はある、それならね」
「後はその二つだけですか」
「うん、その二つがあれば」
それでだというのだ。
「彼はこの国の宰相になれるよ」
「そこまでの人物ですか」
「これでも人を見る目には自信があるよ」
領事は蒸し餃子を食べつつにこりと笑ってスペンサーに話した。
「仕事柄人にはよく会うしね」
「そうですね、領事は人をよく御覧になられて」
「資質を見抜いているというのだね」
「率直に申し上げますがそう思います」
「その私が見たところだよ」
領事は海老蒸し餃子を箸で取りつつ語る。
「彼は宰相になってからもやれるよ」
「それからもですか」
「充分以上にね。あと君は前も言ったと思うけれど」
続いてスペンサー自身のことも話す。
「大将になれるね」
「将軍にですか」
「そう、なれるよ」
アメリカ軍人の最高位である大将にだというのだ。元帥もあるにはあるが第二次世界大戦後この階級になった者はアメリカではいない。
「並の将官ではなくてね」
「大将とは。それは幾ら何でも」
「ないというのかな」
「そもそも私は階級には興味がありませんし」
「出世にはかい」
「はい、特に」
スペンサーはこのことには無欲でこう言うのだ。
「ありません」
「そうなんだね、けれど私の見ているところね」
「私は大将までなりますか」
「資質は充分だよ」
まずこれがあるというのだ、彼にしても。
「やはり後は運とチャンスだよ」
「その二つを手に入れればですか」
「君は大将になれるよ、けれどその前にね」
「その前にとは」
「結婚はしないのかな」
話題が変わった、スペンサーのプライベートの話になった。
「それはどうかな」
「結婚ですか」
「やっぱり一度は結婚しないとね」
領事はスペンサーにくすりと笑って述べた。
「駄目だよ」
「結婚ですか」
「私は今で三度目だがね」
つまり二回離婚しているというのだ、このことをあっさりと語る。
「それでもだよ」
「結婚はいいのですね」
「慰謝料と養育費を払うだけはあるよ」
「かなりの額になるのでは」
二回の離婚と慰謝料、そして養育費がある。それならというのだ。
「辛いのでは」
「ははは、人生の勉強だと思えば安いよ」
「そうでしょうか」
「あるよ。まあ色々とあるけれどね」
その色々がどうしても気になるところであるがスペンサーは領事の話を聞いていく。領事もさらに話していく。
「結婚はするべきだよ」
「そうなのですか」
「相手はいないのかな」
「いないです、それが」
「日本ではまだお見合いの風習が残っているそうだけれど」
「あれですね」
「それをしてみれば
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