第六十四話 戦いを止める為にその十
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「それが」
「そうだったね」
「中国人の感覚でも麦も主食ですが」
「日本人はどうしても違うね」
「このお店でもです」
日本にあるこの店にしてもだというのだ。
「日本人が多いですが」
「というとだね」
「炒飯が主食です」
そうなるというのだ。実際に店の中では日本人の客が多いが彼等のかなりの割合が様々な炒飯を食べている。
「そうなっています」
「米だね」
それが絶対だというのだ。
「その辺り日系人はもう違ってるけれどね」
「アメリカ人ですからね」
日本にルーツがあろうとももうアメリカ文化の中にいるというのだ。
「ですから」
「そういうことだね」
「そうなります」
「日本人は独特だね」
領事はこうも言った。
「何もかもね」
「確かに、個性がないようで」
「それでいて強い国だね」
「桜でしょうか」
ここでスペンサーはこの木を出した。
「色は淡いですがそれでいてです」
「個性はしっかりしているね」
「揺るがないまでに」
そこまでだというのだ、日本の個性は。
「強いです」
「不思議な国だよ。アジアの国はそれぞれ個性が強いけれどね」
「合衆国に負けないまでに」
「殆ど誰も我が国は建国当時からアジアを見ていたことは知らないね」
ここでこう言った領事だった。
「それこそジョージ=ワシントンの頃から」
「モンロー宣言もそうでしたし」
「あれはアメリカ大陸の孤立宣言ではない」
「はい、南北アメリカ大陸にです」
それに加えてだったのだ、モンロー宣言は。
「東アジアに東南アジア、そしてオセアニアも含めた」
「つまり太平洋全域に渡るね」
「欧州への不介入を決めた宣言でしたから」
「欧州は欧州だけで満足すべきだとね」
「このことにはあの頃は誰も気付かなかった様ですね」
今も殆どの者が、というのだ。
「まあ気付かなくてもいいですが」
「その方がやりやすいからね」
「その通りですね」
「太平洋はアメリカが盟主になり巨大な経済圏を築く」
まさに太平洋全域に渡るそれをだというのだ。
「そのことはアジアの誰も気付いていないでしょうか」
「気付いている人もいると思いますよ」
「そうだろうね、彼等も頭がいいからね」
「どの国も」
「日本もね。しかしこの国は外交は下手かな」
よく日本人自身がこう言う。だが領事はこのことについてあえて疑問形で以てそのうえで言うのだった。
「私はあまりそうは思わないんだがね」
「確かに強いことはあまり言いませんが」
「それでもだね」
「この国が柔道を生み出しました」
世界的に有名な武道である、スポーツと考えられることも多い。
「私のフェシングの流儀ではないですが」
「柔よく剛を制すだね」
「そうしたものですね」
「そうだ
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