第五十話 遂に開催その二
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ここでだ、里香は琴乃にこの話もした。
「美術部の出しものだけれど」
「若しかして」
「そう、あの三代の将軍様がね」
よりによって三代だ、一人だけでもネタになるというのに。
「人形になってるらしいわよ」
「人形ってあのでかい銅像みたいなのが?」
「そう紙粘土で作ってね」
それで置かれるというのだ。
「美術部も結構ネタにしたいみたいだから」
「紙粘土なの」
「ネタだからそれで充分ってなったらしいわ」
美術部も遊んでいることがわかる、少なくとも真面目に芸術作品として出すつもりがないことはわかる話だった。
「リアルの顔でミニチュアで」
「うちの美術部もそういうことする人いるのね」
「アスキーアートみたいにミサイルに乗った感じになってるみたいよ」
あの国が開発しているミサイルである、ミサイル一発打ち上げてそれでいつも大々的に騒いでいるのだ。
「ミサイルも紙粘土らしいわ」
「そこはプラモじゃないの」
「プラモだからお金かかるからって」
やはりぞんざいな理由だった。
「そうなったらしいわ」
「何かやる気があるのかないのか」
「わからないわよね」
「遊んでるのはわかるけれどね」
だから人形として出すのだ、少なくともそこに敬意やそうしたものが微塵もないことは一目瞭然である、聞いただけで。
「プラモじゃないのね」
「普通ミサイルはプラモよね」
こうしたもので出す時はだ。
「プラモ部もそういうの一杯持ってるから」
「うちのプラモ部ってマニア揃いだしね」
「今年は機動戦士でいくらしいわ」
里香はここで目を輝かせた、かなり光っている目だ。
「ファーストのあの赤い彗星の人が緑の機体を団体で引き連れてる場面ね」
「あのシーンね」
「それとファーストのラストシーンとか」
「首と片腕なくなってる場面ね」
機動戦士のシリーズは名場面の宝庫だ、それはファーストからだ。
「あとフルスクラッチのモビルスーツとかも作ってるらしいわ」
「凝ってるわね、あそこも」
「そうよね、本当にね」
こう話す二人だった、そして。
琴乃は歯を磨き終わって同じく磨き終わった里香と別れた、そのうえで自分のクラスに戻って仕事に取り掛かろうとすると。
クラスにはまだ半分程しかいなかった、琴乃はやけに寂しいクラスの中を見回しているクラスメイトの女の子に尋ねた。
「皆まだなの」
「そうなの、まだね」
そのクラスメイトは人形を作っていた、ろくろ首のだ。
それを作りながらだ、こう言うのだった。
「お風呂から帰ってないわ」
「八条温泉ね」
「皆相当飲んでたじゃない」
女の子はろくろ首の長い首を作りながら言う。
「それでなのよ」
「お酒抜けないのね」
「サウナに放り込んで」
文字通りそうしてだとい
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