三日目
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「では、ゴブリンの討伐をお願いします」
受付嬢に依頼の説明を受けたユーハが大きく頷いた。
「はい!頑張りましょうね、ヤクモさんっ」
善処する。
そう、俺は今、昨日相部屋になったユーハ・メンタムと共に一時的にパーティーを組み、依頼を受けている。
こうなった原因が起きたのは、今日の早朝だ。
簡単に言えば、ユーハが魔物の討伐をしてみたいと言い、俺に協力を頼んできた。前衛が居ないと不安らしく、報酬は7:3でいいので、と頼まれ、今に至る。
「後衛は任せてくださいね!回復もできるし、初級魔法ならそれなりに使えますのでっ」
それは安心だ。なら、前衛は俺に任せておけ。魔物一匹近寄らせない。
「はい、そう言ってくれると心強いです。ありがとう、カゲヌマさん」
話している間に門の前に着いたので、通行証代わりのギルドカードを見せ、外に出た。
ユーハは緊張した面持ちで杖を両手で握りしめ、俺の後に続くように森へと歩く。
ユーハと違い、俺は一度この依頼はこなしている。あの程度なら余裕がある事は確認済みであり、最悪、ユーハが戦闘不能に陥ったとしても、それをカバーしながら依頼を達成させる自信がある。それほどに余裕だ。
「うわー、思ったより広い.....」
森に入ったユーハは森を見渡し、呟いた。
「っと、眺めてる場合じゃないよ。すいませんッ、カゲヌマさん」
別にいい。この依頼は時間制限はないし、報酬は俺の方が多く貰える。実質、ユーハが俺を雇った、ようなものだ。好きにするといい。
「....ありがとうございます。でも、もう充分なので、ゴブリン討伐に行きましょう」
そうか。なら、俺に付いてきてくれ。前にゴブリンと遭遇した場所に案内しよう。
俺はそう言うと同時に両腕から輝彩滑刀を出す。それを見たユーハが驚いたような声を上げる。
「あ、ああああああの!かかか、カゲヌマさん!?」
何だ?
「そ、そのううう、腕何ですかッ!腕から剣が生えてますよ!?」
ああ、これは流法と言って、一種の魔法だ。気にするな。
「しますよ!?どんな原理何ですかッ?」
原理は詳しくは言えないが、これは単に自分の腕の骨を剣状に変えているだけだ。分かったら付いてこい。
「あ、待ってくださいよ!カゲヌマさんッ」
しつこく聞いてくるユーハを適当に相手し、俺はゴブリンを虐殺したあの獣道に向かう。
(もう少しだな。僅かだが、何か気配もあるし、警戒するに越したことないか)
「ねぇ、カゲヌマさ」
黙れ。
俺はユーハの口を押さえて、草陰から獣道を指差した。
「あれは....」
ああ、ゴブリンだ。
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