効率と非効率
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く目を開く。
それが形になる前に、再び礼の言葉を口にして頭を下げた。
「私は役を果たしただけに過ぎません」
「それが出来ない奴が多いから困っている」
呟いて、ヘルダーは息を吐いた。
それは誰に対してであるのか。
ラインハルトは頭を下げながら、苦笑する。
しかし、すぐに笑いを消して顔をあげれば、ヘルダーを真っ直ぐに見た。
「おそれながら、申し上げます。反乱軍の基地データが手に入った現状では、敵が混乱から回復する前に攻撃するべきです」
「敵の攻撃によって、こちらも大きな被害を出したが」
「ですが」
拳を握って、ラインハルトは身を乗り出す。
「敵が被った被害はこちら以上です。敵の装甲車が動かぬ今攻撃せずに、いつ攻撃できるのでしょうか」
白い頬が紅潮し、興奮を浮かべる様子にも、ヘルダーは心が動かされた様子はなかった。
表情に考えを巡らせて、しばし逡巡。
言葉を待つラインハルトに視線を向ければ、ゆっくりと首を振った。
「ふむ。少尉の進言は的を得ている――わかった、すぐに攻撃隊を編成しよう。ミューゼル少尉、疲れているだろうが、君も隊に加わるように」
「はっ!」
頷いて、ラインハルトは敬礼を行う。
ヘルダーが答礼を返せば、一礼をして、踵を返した。
その背に、ヘルダーが声をかける。
「ミューゼル少尉。帰りに誰かと会わなかったか」
「いいえ。我々の他に誰か偵察隊を出したのですか」
ヘルダーの問いに即答したラインハルトに、ヘルダーは首を振った。
「いや。会わなかったらよい。出発は三時間後だ――急がせろ」
+ + +
「死んだか、フーゲンベルヒ」
彼の問いに対して、ラインハルトは偵察隊を出したかと問うた。
ヘルダーは誰かとは聞いたが、味方とは言っていない。
たったいま攻撃があったばかりであるのだから、そう聞かれれば通常であれば反乱軍を想像するだろう。
だが、何の疑いもなくラインハルトは偵察隊と断言した。
確証はない。しかし、ラインハルトはどこかでフーゲンベルヒと出会っている。
おそらくは生きてはいまい。
そこにわずかな感傷すらも存在しなかった。
小僧を二人殺す程度の仕事が出来ない人間など、生きていても価値がない。
少なくとも今後いても役には立たないだろう。
やはり、俺がやらなければならないか。
と、ヘルダーは机からブラスターを取り出した。
敵に相対しての戦いはどれほどぶりであろうか。
最盛期に比べれば腹周りも大きくなった今では腕も落ちているだろう。
だが、負けない。
何度も死地をくぐり抜けた。
ブラスターの弾がなくなって、反乱軍の首をナイフでかき切ったこともある。
多少若く、腕に自信があったとこ
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