仲間の為に、他人の為に。
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ナツが強い意味を。そして、いつもより強く見える理由を。
(私とは違う・・・己の為に戦っているんじゃない・・・)
理解した時――――
(他人の為に・・・『仲間と名付けた他人』の為に、戦っているんだ!)
ティアに溢れ出てきたのは・・・驚愕だった。
元々、自分のいるギルドは仲間意識が強いと思っていた。
が、基本他人に興味のないティアは、他人に他人以上の名前を付けようとはしなかった。
(でも・・・コイツは違う・・・)
だが、ナツは違った。
ギルドにいる人間全員を仲間と呼び、好んで孤立していたティアさえも、喧嘩というイマイチな繋がりではあるが、絆で繋いだ。
(他人の為に戦うなんて、愚かとしか言えない・・・でも、コイツはそれが『戦う理由』だと信じて疑ってない・・・)
初めてだった。
(なんて・・・なんて、コイツはバカで・・・)
他人を、何の繋がりもない人間を『仲間』と呼ぶ人間に。
(なんて・・・強いの・・・)
強さを覚えたのは。
(強い・・・コイツは強い!私とは違う意味で・・・強い!)
その瞬間、ティアの体を闘志が走る。
立ち上がり、叫んだ。
「大海銃弾!」
展開した魔法陣から、森バルカンの首辺りに勢いよく水が発射される。
「ウホ?ウホォォォォオオオっ!?」
突然の反撃に、森バルカンは大きく身体を仰け反らせた。
手が空いていれば防げたかもしれないが、生憎手はナツが受け止めている。
「今よ!」
「おう!」
ただ短い言葉で、意志の疎通くらい出来る。
1日に何回も口喧嘩をする2人は、ギルドで1番と言っていい程に仲が悪く・・・ギルドで1番と言っていい程、息が合っていた。
ナツは森バルカンに向かって跳び、そして―――――
「火竜の・・・鉄拳!」
勢いよく、炎を纏った拳を叩き込んだ。
「ウホアアアアアアッ!」
ナツの拳は森バルカンの顔面に叩き込まれ、相手は気絶する。
「・・・アンタ、私の力はいらないんじゃなかったの?」
「お前こそ、俺の力はアテにしてねぇんじゃなかったのか?」
互いに憎まれ口を叩く2人。
が、しばらくすると――――――
「ぷっ・・・ははははははっ!」
「くくっ・・・」
ナツは大笑いし、ティアは小刻みに肩を震わせた。
「ナツー!ティアー!」
するとそこに、卵を抱えたリサーナが駆け寄ってきた。
「リサーナ!無事だったか?」
「うん!卵も無事だよ!」
「そう。ドラゴンが無事でよかったわね」
「「え?」」
ティアの言葉が意外だったのか、ナツとリサーナが目を丸くする。
その視線を受け止めたティアは、視線を逸らし、もごもごと呟いた。
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