暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
仲間の為に、他人の為に。
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はいえ、凄まじい威力の蹴りに、ティアは地面に転がった。

(動きが速い!こんなに図体デカいのに・・・嘘でしょ・・・!?)

驚愕に目を見開きながら、ティアは立ち上がろうと脚を動かす。
そして、気づいた。

「!」

右脚が、近くの木の根っこに引っかかっている。

「ぶっ潰してやるーーーー!」

目の前には血走った目を向け、両手をハンマーのようにして振り下ろそうとする森バルカン。
避けようにも、足はなかなか根っこから離れない。

「っ・・・!」

ティアは覚悟を決め、目を閉じる。

(拳が振り下ろされたと同時に体を水に変えて、隙を見て距離をとる・・・大丈夫。冷静になれば不可能じゃないわ)

ティアがその事を確認した、瞬間。

「ティアーーーー!」

リサーナの叫びをかき消すかのように、激しい轟音が響いた。
目を閉じていたティアは、すぐさま違和感を感じる。

(・・・拳が、来ない?)

衝撃が来ないのは想像していた。
体を水へと変えてしまえば、小細工なしの物理攻撃など効かない。
が、押し潰されるような感じは全くなく、そもそも拳がティアに届いていない。

(どういう事?)

不思議に思いながらもゆっくりと目を開ける。
そして、驚愕した。


「ぐっ・・・コイツは・・・やらせねぇ・・・!」


ナツが、森バルカンの拳を必死に両手で受け止めていたのだ。

「アンタ・・・何で・・・?私は体を水に変えられるし、別にこの程度の攻撃はどうって事・・・」
「だったら傷ついていいのかよ!」

ティアの言葉を遮り、ナツが叫んだ。

「体を水に変えられるから何だ?それを知ってるから助けるなってか?ふざけんじゃねぇ!」

怒りを含んだナツの声に、ティアはただ沈黙する。
わざと沈黙している訳じゃない。

(・・・どうして?)

目の前にいるのは、自分より実績も経験も魔力の量も、全てとは言わないが劣っている、ギルドに加入してまだ1年ほどの少年。
明らかにティアの方が強く、魔法でも頭脳でも素手の戦いでも、素手の戦いを除けば基本ティアが勝つだろう。素手での勝負はあまりしない為、結果は解らないが。

(どうして・・・)

そのハズなのに。
目の前で拳を受け止めているナツは、明らかに自分より弱いハズなのに。

「仲間がやられそうなトコ見て・・・黙ってられる訳ねぇだろうがあああああああっ!」

叫んでいる言葉でさえ、何の根拠もないものなのに。

(どうして・・・コイツが、強く見えるの?)

ティアの青い目に映るのは・・・いつもと変わらないナツ。
なのに、その姿は、いつもよりも強く見えた。

(コイツは―――――――)

そして、唐突に理解する。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ