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我が剣は愛する者の為に
熊と勝負
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えて追ってくる熊を正面に捉える。

「行け!!
 時間を稼ぐから、師匠を呼んできてくれ!!」

周瑜達が応援を出してくれれば、早く合流する事が出来る筈だ。

「すぐに応援を呼んでくる!!」

そう言って離れていく足音が聞こえる。
しかし、その足音は一つだけだ。
俺は少しだけ後ろに視線を向けると、こちらを見ている孫策がいた。

「何をしている!!
 早く行け!!」

「で、でも、これは私のせいで・・・・」

「そう思っているのなら一秒でも早く、師匠達を呼んで来てくれ!!」

「・・・・・・絶対に死なないでよね。」

その言葉を言い残して、足音が遠ざかる音が後ろから聞こえた。
俺は孫策の言葉を聞いて思った。

(死亡フラグ立てんじゃねぇええええええええええええええええ!!!!!!!)

うん。
これはアニメや漫画やライトノベルなら間違いなく死ぬ奴だ。
しかし、これはアニメや漫画ではなく、俺からすればすべてリアルだ。
もうすぐそこまで来ている熊を見据えて、手汗で濡れた柄を握り締める。

(いいぜ。
 こんな露骨な死亡フラグ、俺が叩き折ってやる!!)

すでにこの発言も死亡フラグな気がしてきた俺だったが、熊は俺が待っている事に気がつくと勢いを止めるどころか、さらに勢いをつけてこっちに突進してくる。
思考をクリアにして、突進してくる熊の動きを観察する。
おそらく、突進で俺を倒すつもりなのだろう。
素早く地面の砂を拾い上げ、熊に向かって投げる。
目に砂が入った熊は狼狽えるような声をあげて、一気に減速して前足で顔を触っている。
これで勢いで突破される事は無くなった。
熊が視力を戻すまで、俺は待つ。
この隙に一気に攻めるべきだと思うが、実際は違う。
熊というのは視力を失うと見境が無くなり、乱暴に攻撃してくる。
現に今も、空いている手で辺りに振り回している。
これでは近づこうにも近づけない。
逃げようにも後ろにいる孫策達を追い駆けられたら、そもそも囮になった意味がない。
なので、俺は集中して熊が視力を治るのを待つ。
数十秒後、熊は視力を取り戻したのか、両前足を地面につけて俺を見てくる。

「さぁ、来い。」

正眼の構えをとって、俺はそう言った。
熊に言葉が通じるとは思わないが、自分に気合を入れるという意味もある。
すると、熊はいきなり立ち上がった。
全長3メートルはあるだろうか。
ゆっくりと俺に近づき、右手を俺の顔に向かって振りかぶってくる。
俺は後ろに下がって、その右手をかわす。

(師匠との打ち合いの成果だな。
 速いがこれならかわせる。)

次に熊は四足歩行の状態になると、左手でアッパーするように振り上げてきた。
その時だった。
熊の爪が地面に
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