ルリム・シャイコースとの戦い V
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両腕を治すことは、最優先事項へとなっていた・・・のだが。
「ダメ・・・か!」
『治癒』でも『解呪』でも、何の成果も出ない。未だに彼の両腕は、透き通る氷のままである。
「せめて連絡が出来れば・・・!」
護堂には、圧倒的に知識が足りなかった。大抵のことを出来る、万能とも言える権能を持っているが、それを生かすための知識と経験が足りなすぎる。
そもそも、神殺しとなってからたったの数日で、クトゥグアやらルリム・シャイコースやら、数多くの神話大系の中でも、特に凶悪な連中と戦っているのが異常なのだ。最初がナイアーラトテップ、次がクトゥグア、その次がルリム・シャイコースと、ここまでビッグネーム揃いの一つの神話の神々と連続して戦ったのは、恐らく彼が始めてだろう。
せめて、アドバイスを受けられればいいのだが、唯一の連絡手段を起動出来ない状態。向こうからの連絡を待つしかない状況だ。
「・・・詰んだ、かも・・・?」
彼にできるのは、一秒でも早く鈴蘭たちが連絡してくれることと、護堂が死んでいないことに気がついたルリム・シャイコースが探しに来るのが遅くなることを祈るだけであった。
『護堂君。・・・護堂君!無事か!?』
三十分後。
疲労もありウトウトしていた護堂に、待ち兼ねた連絡がやってきた。
「その声は、翔輝さん・・・でしたか?ええまぁ、無事と言えば無事なんですけど・・・。鈴蘭さんはどうなりました?」
先ほどまでは鈴蘭が通信の相手だったのに、何故翔輝なのか?それが分からずに困惑する護堂。彼の質問を聞いた翔輝は、暗い声で答えた。
『あの女の子をそっちに送ってすぐにダウンした。精神的にヤバイ状態になったんで、戻ってきてもらったんだ。今は治療を受けてる。しばらくは目を覚まさないだろう。』
「な・・・!だ、大丈夫なんですか!?」
『命に別状はない。ただ、精神攻撃だからな。少なくとも、今日中に完治はしないだろう。・・・つまり、』
「・・・助けはこない、と・・・。」
『・・・すまない・・・!』
翔輝が謝る事ではない。祐里が大変な状態にあったというのは護堂も知るところだ。その彼女を助ける為に、危険を犯したのだから、責められるわけがないだろう。その事を、護堂はよく理解していた。
「いえ。・・・ん?つまり、あの女の子は一人でここにいるんですか?」
『そうだ。発信機を付けているから、無線機の青いスイッチを押してみてくれ。空間に投影される。』
(そんな機能まで付いてるのかよ・・・)
護堂は呆れた。色々規格外な人たちだとは思っていたが、たかが数センチの大きさの機械が、これほどまでに高性能だと誰が思うだろうか?
神との戦闘に耐える耐久力、どれだ
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