第8話 登校初日の夜に
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イッチがONになってしまったらしい。
……そう言えば、かなめが前のヒステリアモードになる前の事をあまり覚えていないなら、かなめの見ている時にまともなヒステリアモードになるのは、これが初めてのような気がする。
アリアとの屋上でも遠くからかなめがストーカーしてただけだしな。
けれどそのせいなのか――
「お兄ちゃん。その事を話す前に一つお願いがあるんだけど……いい?」
「ん、なんだい?」
「着替えが部屋の隅に置いてあるということは、これからお風呂だよね……な、なら……あ……あたしも一緒にお風呂――は、入っていい?」
偶然扉の近くに置いてあった俺の風呂用の着替えを見て、唐突に入りたいと思ったのか、かなめが少し興奮気味にとんでもないことを言ってきた。
「……かなめ。可愛い妹からそう言われるのは嬉しいが、俺とかなめは兄妹なんだ。だから……」
「お願い! 今のお兄ちゃんとちょっとでいいから話がしたいの!」
ならここでもいいだろっ! と、ツッコミをいれてやりたいが、悲しいことに今の俺はヒステリアモード。そんなことできるはずもなく、しかも――
「入ってくれたら、お兄ちゃんがあたしの胸をつかんでヒスったこと、レキたちに言わないから!」
逆に言えば『入らないとレキたちに今の事を言うよ』と脅しまで言ってきやがった。
こんなことをヒステリアモードの俺に言われたら……
「……分かったよ。けど、かなめが何を悩んでるのかもちゃんと聞かせてくれよ」
「う、うん! ありがと、お兄ちゃん!」
OK出すよね。そりゃ。
こうして俺とかなめは一緒に風呂へ入ることになってしまったのだが……大丈夫だろうな、ヒステリアモードの俺よ。
さすがにいくらお前でも、実の妹に手を出すなんてこと……ないよな?
そんな不安をまだ微かに残った冷静な部分で考えながら、爺ちゃんたちに見つからないようかなめと一緒に風呂へと向かった。
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