第8話 登校初日の夜に
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。
そんなかなめの姿と――テレビに集中しているのか俺に気づいておらず、いつもは見れないかなめの無防備な表情が相まって――
――ドクンッ……!
俺の中の例の血流が、昼間の時よりも強く始まりそうになる。
や、ヤバい……!
実の妹の部屋で過ごしている姿を見てヒスるとか、マジでシャレにならん!
た、確かにここはかなめの部屋で、勝手開けた俺が悪いかもしれないが……それにしても、もう少し用心しろよ。
爺ちゃんとかが勝手に入ってきたりしたらどうするつもりなんだ。かなめの奴。爺ちゃんはノックとかしないぞ……多分。
それに外の音が聞こえないようにへッドフォンなんかしやがって……まずはあいつを外させるのが先だな。
「お、おい、かなめ。聞こえてるか? その頭につけてるヘッドフォンを外せ」
今の時間、そこまで大きな声をあげると、
「うるさいぞ、このバカモーン!」
とか言って、昔どでかい声を出しながら爺ちゃんが来てしまった(爺ちゃんの方が俺よりうるさかったが)ことがあるので、できるだけ最少の声で呼びかける。
「…………」
ダメか。
というか、外から呼びかけても気づかなかったのに、ここで呼びかけても気づくわけないよな。
……それにしても、かなめが部屋に入っても俺の存在に気づかないなんて、やはり様子がおかしい。
ヒスるのを必死にこらえてよく見ると、テレビも集中して見てないな。あれは。目はテレビに向いているけど、焦点がテレビの距離にあっていない。
なんかテレビの方を見ながら必死に何かを考えている感じだ。
呼びかけにも応じず、かなめにしては珍しくこちらにも気づく気配がない。けれどだからと言って大声をあげるわけにもいかない。
つまり、俺が近づいて肩などを叩くしかないわけで――けどだからって、あの恰好のかなめに近づくのも……
(――くそっ、考えていても仕方ない!)
このまま考えていて、もし誰かが部屋の前を通りかかったりしたらと思い、まずは扉を閉める。
そこで後ろを向き深呼吸をして、体の血流の確認&精神安定を確保する。
「スー、ハー、スー、ハー……よし!」
さすがだ。俺の中の俺よ。かなめに対する防御力は天下一品だな。他の女子なら今の時点でヒステリアモード突入ものだったぞ。
かなめまでの距離や障害物も、先ほどヒスるの覚悟でかなめの顔を見た時に確認済み。
このまま後ろを向きながら近づいて、肩なんかを叩けばいいだけだ。
――そう考え、一歩、二歩、三歩……と、先ほどの記憶を確かに、慎重にかなめに近づく。
そして手が届くであろう距離になり、
(――ここだっ!)
記憶のかなめの肩の位置に、後ろへ右手を伸ばす。
――ぷよんっ……
「――ひぁっ!」
そういう音でしか表現できない、肩とは思えない
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